第43話 「続、男は辛いよ」

*二度目の恋 君に逢いたくて…第43話



シルヴァーにあんな事をされ、途方にくれてるローリー。
もう何も考える力が残っていない。まさか彼があんな行動に出るなんて…。
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あれはレイプとしか言いようがない!



でもそれを誰かに言ったところで何になる?自分の愚かさを他人に知らせるだけだ。
あのろくでなしの行動は誰もが予想がついた事なのだから。
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そしてゴルゴとの新たな関係を夢に見た事も一瞬で終わってしまった。
笑っちゃうぐらい、あっけなく…。



ただ一番怖いのはこれから先だ。もし…もし万が一、子供が宿っていたらどうしよう…
もちろん、そうなったら生む覚悟でいる。何故なら…
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そう、何故なら父親がどうであれ、自分の子には変わりはないのだから…。



ああ…私の人生はどうしてこうも複雑なのだろうか。
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ただ平凡に、おただやかに生きて行く事は私には許されないのだろうか。
きっと私はそう言う星の下に生まれたんだ。そう思って諦めるしかないのかも知れない。



ローリーは深いため息を吐きながら瞳を閉じた。
「気持ちいい…」
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「…………ラ……ララ……ラ…」



「あいつ、ぜってー俺の電話シカトぶっこいてんじゃね?なんだよ…出ろよな。
だいたい、せっかく俺様がデートに誘ってやろうと思ってんのによ…」
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「デートだぜデート。分かってんのか?」



「クソ!」
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ピッ!



「もしかしてこの間の事でまだ怒ってんのか?」
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「俺が沙織ちゃんを好きだとか何とか、勝手に決め付けてんじゃねーよ!」
「え!じゃなに?!あんたは好きでもない女と付き合ってる訳!?」



「バーカ!せいぜい沙織にも『ふにゃ○○やろ~~!』なんて言われないようにね!」
「なんだとーーーーーー!」
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「ま、まさかな…。
って…こんなに盛り上がってる俺だけど、あいつは俺の事どう思ってんだろ?」



「いや…体の相性はいいんだ…。それにいやに沙織ちゃんの事を気にしてたし…。
あれって嫉妬じゃね?だよな?だよな? ぜってーそうだ!     と、思う」
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「あーあ…最高にロマンチックな案を思いついたんだけどな…。
ま、俺らしくもねー案だけどよ…。え?聞きたい?聞きたいよな?しょうがね~な~」



「まずな、飯食いに行くだろ?あ、ハンバーガーとか、お手軽な料理じゃねーぜ?
ナイフとフォークを使うようなシャレた店でよ~」
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「んでその後はもちろん、夜景の見えるシックなBARよ。
愛の告白っつったら普通、そういう場所だろうが。だろ?」
と、ゴルゴは誰に問いかけてるのか、一人でブツブツと喋り始めた。



「そこで俺は気持ちを言う訳よ。惚れてるって言うか…乳をもう一度拝みたいって言うか…
目をジッと見つめて…ローリー…俺はお前が…」
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「うお~~盛り上がってきた!」



「いや、まてよ…。急に言うのはおかしいよな。今まであんだけケンカしてたのに…」
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「はっ!てかいきなり笑われたらどうすんべ?
あいつの事だ、あんた頭がおかしくなったんじゃないの?っくらい言いそうじゃね?」



「ぜってー言う。口の減らねー女だし。ったく…ムカツク女だぜ!」
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「って…だから!
それじゃいつもと一緒だって!そんな事言ってたらいつまでもあの乳にありつけねーし…」



「ああ…なんで俺様がここまで悩まなきゃなんねーんだ…。
クソ!それもこれも全部あの乳のせいだ!俺があの乳に心を奪われたばっかりに!」
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「あいつは俺になんか変な魔法でもかけたんじゃねーのか?惚れ薬でも一服盛ったとか?
あの女め!今度会ったらあいつを…」



「だからだからぁ~~!それじゃいつもと一緒だって何回言ったら分かるんだよ、俺!」
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「ちくしょう…俺のこの口が悪いんだな!」



「この口めっ!こんにゃろ、こんにゃろ!」ペシ!ペシっ!
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ムギュ~~



「あ~~ムシャクシャする!電話に出ろよな!!!」
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「………」



「あの…亮様…お食事のところ申し訳ありません…」
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「ゴルゴ様なんですが…その…」



「どうした?」
「はい…。あの…お食事が冷めてしまいますのでお呼びしたいのですが…その…」
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「ん?」



「か、彼がちょっと…その…変…といいますか…その…
あ、いえ!そんなには変ではありません!けれどこのままではせっかのくお食事が…」
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「いや、アイツが変な事は確か」キッパリ



「アイツ…マジでなにやってんの?」
「さ、さあ…。興奮してる事だけは確かだとは思いますが…」
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「ですが見てますと、興奮してると思いきや、時折沈んだお顔をされたりしまして…。
何かお悩みがあるのでしょうか…。少し心配ですね…」



「悩みか(笑)それなら大丈夫だよ。あいつね、いま恋しちゃってんの」
「恋…でございますか?」
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「そう。ほら、このみと一緒に来た女性いるだろ?ローリー。彼女にイカれちゃってんのよ」
「ああ!あの楽しいお嬢様!」



「それがさ、何故かあの二人、初めて会った時からいっつもケンカばっかりで。
なのに今になって彼女を好きな事に気づいたんだよ。バカな奴」
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「そうでございましたか。けれど青春とはそう言うものでございます。
きっと今が一番楽しい時でいらっしゃいますね」
「そうかもな(笑)」



「おい、ゴルゴ!飯食うんだろ?」
「あ?」
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「飯」
「あ…ああ…食ってく…」



「どうしたんだ?」
「いや…ローリーが電話に出ないんだよ」
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「どっかに遊びにでも行ってるんだろ?」
「だよな…」



「何?今すぐ声が聞きたくてどうしようもないとか?」
「ち…違うよ!」
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「へ~~」
「なにが「へ~~」だよ!それより飯、飯食うよ、腹減った」



「ほ~~♪」
「なんだよ!その「ほ~~」って!」
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「は~~♪」
「だから!ムカツクんだよ、その言い方!」



「おい、亮!」
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「分かりやすい奴…」



「お~うまそう♪」
「どうぞ、たくさん召し上がって下さい」
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「ほんでは遠慮なく、いただきま~~す♪」



「ゴルゴ様は食いっぷりがいいですね(笑)」
「そう?」
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「はい(笑)そんな風に食べてもらえると作り甲斐があると言うものです」
「だってうまいも~~ん♪」



「ところでカイル…ちょっと聞いていい?」
「はい、なんでございましょう」
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「ズバリ聞くけどさ、カイルって恋した事って……ある?」
「恋…でございますか?」



「あ、これはね、俺の友達の話なんだけどさ。
その友達が言うには、今まで散々ケンカばっかしててさ、んでもって憎たらしい女でさ」
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「けどある日突然、気づいちゃった訳よ」



「と、申しますと?」
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とぼけるカイル。



「だからぁ~~そいつに惚れてるって気づいたの!
あ、あくまでも友達の話ね。俺の話じゃないから、勘違いしないように」
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「ええ。分かっております」



「んでさ~その場合、どうやって言ったらいいと思う?
そこんとこを人生の先輩であるカイルに聞きたかったのさ」
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「やっぱさ、四の五の言わずにガバ!っとがいいと思う?
それともアイツの顔に手を添えて、そっと…あ、何度も言うようだけど、これは…」



お友達のお話   で、ございますよね?」
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「う、うん、そうそう!友達の話ね!だからさ~ガバッと行くのがいいのか、それとも…」



「そうですね…わたしくしならば…」
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「カイルならば…?」



「まずは目をジッと見つめます」
「目を?」
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「はい。何も語らず、目だけで相手に気持ちを伝えるのです」
「ふ~ん…。難しくね?」



「いいえ、誠意を持ってすれば相手の方にはちゃんと伝わります。
ご自分の気持ちの大きさを、そして愛の深さをお伝えするのです」
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「…で?」
「もちろん、お相手の方のお気持ちも目を見れば分かるはずです」



(え…どうやって分かんの?なんかの光線みたいなのが飛んで来るとか?)
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「お相手の女性が、熱い眼差しで見つめ返して来たのなら……その時は…」
「その時は…?」ゴクリ…



もちろん!
すかさず抱き寄せ、ギュッと彼女を包み込み、ガバッと唇を重ねるのです!」
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「え…いきなり?それはいくらなんでもマズくね?」



「自信がないのですか?」
「はい?」
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「男としての自信です!」
「そ…そりゃ…あるけど…」



「お~~っとと、失礼。これはゴルゴ様のお友達のお話でしたよね!
私とした事が、つい熱く語ってしまいました(笑)」
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「あ…ああ、うん…友達の話…そう…友達の…」



「とにかく!恥ずかしがってクズクズしててはいけません!いいですか?
こう言う時は女性も恥ずかしいものです」
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「そんな気まずさを女性に与えないよう、最新の注意を払い、甘く、素敵に、そして熱く熱く!
ご自分の気持ちを伝えるのです!」



「甘く、素敵に…そして熱く…」
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「熱く…」



「お~~~~っとと、またわたくしが熱くなってしまいました(笑)
これはあくまでもお友達のお話なのに、つい…」
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「あ、ああ、うん…そう…友達…」



ガタ…
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「それではでは私はちょっと出かけてまいりますで、これで失礼いたします。
どうぞまだたくさんありますので召し上がって下さい」



「いいですか?ギュっと抱きしめ、ガバッと!ですぞ?分かりましたか?」
「はい…」
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「それではお友達によろしく」
「あ…うん…友達に言っとく…」



ニンマリ
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「もしかしてカイルって…恋愛の達人?」



逆上る事、数時間。
一方、鈴之介の後を追って(つけて)行った沙織。
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追ったはいいが彼の前に姿を現す事が出来ないでいた。
自分でもよく分からなかった。何故彼を追った(つけた)のか。



ただこれだけは言える。相手の女性の顔を見たい。
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どうしても。



やがて一人の女性が現れ、太陽のような笑顔で手を振った。



「鈴ち~~ん♪」
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「お待たせ~~♪」



「や~ん♪ まさか鈴ちんから電話があると思わなかったの~~
私、すっごく嬉しくてェ~夕べは眠れなかったって感じ~」
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「そ、そうですか!ぼ、僕もあなたと会うのを楽しみにしておりました。
そ、それに先日は勝手に帰ってしまってあなたに大変失礼を…」



「ううん、全然いいの。だってこうして又会えたんだもん…気にしないでって感じ」
「あ、ありがとうございます!」
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「ね、今日はどこへ連れてってくれるの?」



「させ子さんはお花は嫌いですか?すぐ近くに綺麗な花が咲いている公園がありまして。
よろしければそこへ行ってお食事でもどうでしょうか…」
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「わ~~素敵!そんな所で食事なんて嬉しいわ!私、お花とか大好きなの!」
「ああ、それならちょうどよかった!」



「ね、早く行きましょ!鈴ちん!」
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「はい!」



ジーーーーーー
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(鈴ちん?いま鈴ちんって聞こえたわ…。もちろん鈴之介さんの事よね?
二人はそんな風に呼び合う程、親密な仲なのかしら…)



- 公園 -



「わ~素敵!お花がたくさん!素敵素敵!」
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と、大げさに喜ぶさせ子。



「ははは…そんなに嬉しいですか?」
「ええ、私ね、可愛いものとか大好きなの!お花ってとっても可愛いでしょ?」
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「そうですね(笑)いや~しかし、こんなに喜んでもらえて感激です!」
「うふふふ…でもね…私…お花だけじゃなく…グリーングリーンも好きなのよ…」



「グリーングリーン?」
「そう、グリーングリーン♪」
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「それはもしかして…植物の事ですか?」
「ビンゴ!」



「ビ、ビンゴですか…へ、へえ~偶然ですね。
実は僕は絵を描いてるのですが、花や植物などを好きでよく描いているんですよ」
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「嘘~絵を描いてるの~?すご~い~!じゃ人とかも描いたりするの?」



「はい。もちろん時には人物描も描きますが…」
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「でも今はあまり描いてません…」



「はは…植物とか描いてると心が和むんですよ…」
「へえ~そうなの~」
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「はい、艶やかなグリーンを見ると、つい描きたくなってしまいます」
「じゃあさ…目新しい葉っぱとか見ると……やっぱり描きたくなる?」



「そりゃもちろん!そんな植物に出会ったら是非描いて見たいですね!」
「ふ~ん…」
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「けど中々そんな珍しい植物には出会えませんけれど(笑)」
「あら…意外と目の前にあったりするかも?」



「ふふ…私ね、どうしよっかな~」
「何がです?」
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「言っちゃおっかな~」
「あの…?なんの事ですか?」



「あ~ん、もうダメ!鈴ちんだけに特別に言っちゃう!」
「はい?」
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「私ね、実はすご~~く珍しい植物を知ってるんだけどな~」
「え…?」



「とっても色あざやかでぇ~~悩ましげな植物なの…。
うふふ…。それを見たら鈴ちん…きっと興奮しちゃうんだから~…って感じ」
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「あの…そんな興奮する植物を、させ子さんは知ってらっしゃるんですか?」
「もちろん知ってるわ…。その葉っぱをそっとかき分けるとね…そこには……」



「うふっ♪」
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「とってもキュートな実がなってるのよ♪」



「それはすばらしい!是非僕も見たいです!」
「そう?なら見せてあげてもいいわよ♪ 鈴ちんだけ特別の特別の、超~特別なんだから!」
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「いや~楽しみだな~。さっそくですが、させ子さん!
そのグリーングリーンの所へ案内してもらえませんでしょうか!」



「やだ、鈴ちんったら!せっかちなんだから~!」
「すみません(笑)なんだかさせ子さんの話を聞いたら興奮してきちゃいまして(笑)」
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「見たらもっと興奮するかも?」
「きっとそうですよね(笑)是非この目で見て、そしてキャンバスに描けたら光栄です」



「さ、行きましょう!」
「あんっその前にお食事をしましょうよ!」
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「あ、そうでした(笑)僕とした事が、すみません(笑)」
「ううん、いいの♪」



「でも腹が減っては戦が出来ないでしょ?だから食事してからの方がいいと思うわ!
鈴ちんにはたっぷりスタミナをつけてもらわなくっちゃ!」
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「スタミナ?戦…?なんの事です?」
「いいのいいの、こっちの話!」



「あ、ほら、あそこに素敵なカフェがあるわ!あそこでお食事するんでしょ?」
「あ、はい」
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「うなぎとか山芋とかスッポンとかあるかしら!」
「え?」



「鈴ち~~~ん、早く~」
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「え、ええ…今行きます…」



「わ~~美味しいわね♪」
「気に入りましたか?」
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「ええ、とっても美味しいわ!」
「それはよかった(笑)」



ジーーーーーー
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ジーーーーーー



「させ子さん、そこに虫が!」
「キャッ!」
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「冗談です(笑)」
「もう!鈴ちんったらヒド~~イ!」



ジーーーーーー
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「………」



そして夜になり、やって来たのは…



「あの…させこさん…こ、ここは…」
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「うふふ…」



「お月様が綺麗ね…」
「この建物…ですか…?」
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「ビンゴ…」
「ビンゴって…あの…ここは…」



そう、二人がやって来たのは忘れれもしない、どピンク色のラブホだ!



「さ、鈴ちん、早く入りましょっ♪」
「でも…その…ぼ、僕は葉っぱを…」
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「言い忘れたけど私ね、この間、ここに忘れ物をしちゃったの。凄く大切な物だから。
ね、悪いけど着いて来てくれない?」
「しかし…」



「あん、いいじゃない。私一人でここに入るのは恥ずかしいわ」
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「けど…」



葉っぱ、見たくないの?」
「え…」
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「葉っぱ。着いて来てくれたら次は葉っぱに案内するんだけどな~」
「で、でも夜になってしまったし…その…」



「言い忘れたけどその葉っぱね、夜になると花開くのよ…うふふ…」
「夜に?」
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「そうね…後1時間もしたら満開じゃないかしら?」
「そうなんですか…」



「だからちょっとここで寄り道していけばちょうどいいと思うの。
あん、難しく考えないで。この間の忘れ物をちょっと取りに寄るだけよ」
「そ、そうですよね…」
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「ほらほら、早く行きましょ!」
「は…はい…」



「早く早く!」
「あの…させ子さん…やはり僕はここの入り口で待ってま…」
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「もう!一緒に行くの!」
「でも…その…」



「早くってば!」
「あ…」
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「嘘…」



(信じられない…。いくら私でもあそこがどんな場所かは知ってるわ!
鈴之介さんったら…鈴之介さんったら!)
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沙織は信じられないのと同時に、怒りがこみ上げて来るのを抑えられなかった。
あの鈴之介がまさかあんな如何わしい場所へ行くなんて!



今までの優しくて紳士な彼は幻だったの?
あんなに…あんなに鼻の下をベロンと伸ばすなんて!
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きっと私が知っていた彼は偽りだったんだわ。よかったわ、婚約破棄して!
ええ…私と彼はもう他人…。だから私には関係ない事よ…。



ダッ!
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関係ない事よ!



そうよ、私には関係ないわ!彼がどこで何をしようと、関係ない!
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それに彼はあんな人が好みだったのね。
あんな風に舌っ足らずな言い方をして、みだらな女性が!



沙織は足がもつれ、転びそうになりながらも一目散に走った。
頬に冷たく流れ落ちる雫を感じたが、それは決して涙なんかじゃない、気のせいだろう。
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とにかく、一刻も早くあの場所から立ち去りたかった。だからもっと早く走って!
もっと、早く、早く!



「はあ…はあ…」
彼が遠くに行ってしまったように感じた。私が追いつけない程、遠くに。
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今頃は二人で何をしているのだろうか。それを思うと胸の奥をギュッと掴まれたようになる。
イラつきと、どうしようもないやるせなさがこみ上げてくる。



ふと見ると、目の前に人形が立って手を振っているのが見えた。
それを見た瞬間、あの女性が鈴ち~んと呼びながら手を振っているのを思い出した。
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「お待たせ~~♪」



「なによ…あの人形……。なによ…なによ…」
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すると沙織は突然、つかつかと人形に向かって歩き出した。



そして…
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と、ケリをいれた(笑)



「こんなとこに置いてあるからいけないのよ…」
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「私のせいじゃないわ…」



「あれ~~こっちかな~う~ん…この下あたりだと思ったんだけどな~」
「見つかりませんか?」
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「うん…無いわ」
「僕がフロントに行って聞いて来ましょうか?」



「そうね。でもその前に鈴ちん、
悪いんだけど洗面所を見て来てくれない?そっちにあるかも知れないから」
「ええ、いいですよ」
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「ごめんね…でもほんとにほんとに大切な物だから…」
「いえ!気にしないで下さい」



「後ですぐに葉っぱに案内するからね」
「はい!楽しみです!」
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「グリーングリーンはすぐそこよ…」
「ええ!見つかったらすぐに行きましょう!大丈夫、絶対に見つかりますよ!」



「鈴ちんって頼もしいのね…」
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「させ子…まいっちゃう…」



「どんな植物なのかな~。早く見てみたいものだ。さてと…ん…?
そういえば、させ子さんは何を忘れたのだろう?」
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「はは…よく考えたらそれを聞かない事には探しようがないじゃないか。僕とした事が(笑)
珍しい植物を前に浮かれ過ぎかな(笑)」



カチャ
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「させ子さん、何を忘れたのですか?よく考えたらそれを聞いてませんでした(笑)
いや~植物の事に気を取られていて、肝心な事を聞くのを忘れ……わす……」



「チャオ~♪」
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前回と同様、何故か下着姿(葉っぱ姿)で優雅にポーズをとってるさせ子



「あの…さ、させ子さん…。ど、どうしてそんな格好で…?」
「うふふ…。鈴ちん、よく見て…私の葉っぱを…」
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「あ…」
「素敵でしょ?と~~っても珍しい葉っぱなのよ~」



「いや…でもそれは…葉っぱとは……と、とにかく早く洋服を着て下さい…」
と、言いながら上目使いで覗く鈴之介。
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「あ~ん、もう!いいからこっちに来て、ほら!」
「でも…」



ドサッ!
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「さ、させ子さん!」



「鈴ちんたら~すっごく見たがってじゃない?ほら、この胸の葉っぱをめくってみて…。
とってもキュートが実があるって言ったでしょ…。ふた~つ、こんもりと…」
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「あの、ぼ、僕はあなたの忘れ物を…」
「忘れ物は見つかったわ…」



「私の忘れ物は…」
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「あ・な・た」



「でも…」
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「あ~ん、いいからほら…」
「だけど…あの…」



「さ、させ…うわっぷ…」
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鈴之介はグイグイ押し付けられる胸に、窒息しそうになった。
息が出来なくなり、顔を横にズラしたその時だった!



あんっ!いい!いいわ!素敵!最高!とぉ~~ってもビンゴなのぉ~~
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と、させ子のいつもの悩ましげな声が、
火災報知機も作動するかの勢いで部屋中に響き渡った。



「鈴ちん!すごいわ!」
「あの…ぼ、僕はなにも…」
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「そこよ!そこ!」



鈴之介はさせ子から逃れようと、もがくように顔を左右に振るが、
その行為はかえってさせ子に刺激を与えるばかり(笑)
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「あんっ♪」
「さ、させ子さん……ぼ、僕息が…い…息……」



「鈴ちん!素敵よ!」
「ですから僕は息…息が…させ……」
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「ビンゴよ~~いいわ~~」
「ですからやめ…いい加減に…」



ドン!



は、離して下さい!
「あんっ なぁ~に~急に~~。今度は鈴ちんが上になりたいの?」
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「何を言ってるんですか!ぼ、僕は…僕は…」



「僕は帰ります!」
「どうして~~せっかくいいところなのに…」
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「す、すみません……。だけど…僕は…」
「ね、早く楽しみましょうよ~。私の実が腐っちゃってもいいのぉ~~?」



「あ、あなたのその実は……」
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「その実は…」



ダッ!
「絶対に腐る事はありません!すみませんが、お一人で楽しんで下さい!」
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「あ~ん……鈴ち~ん…」
と、またしても逃げられたさせ子(笑)



「はあ…はあ……」
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「あ…」



つーーーーー
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この鼻血は窒息のせいなのか、それとも興奮のせいなのか…。



「ぼ、僕はどうしていつもこう…鼻血を…」
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「こんな時なのに…僕はなんて…なんて…」



野蛮な男なんだーーーーーーー!
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と、前回と同様、月に向かって吠えた鈴之介であった…




続き、第44話(本館)へ 「別れの季節」 
二度目の恋…タイトル一覧は(本館) 「こちら」   
ストーリー別一覧は(本館)       「こちら」

第42話 「悲しみの午後」

*二度目の恋 君に逢いたくて…第42話


- 数日後 -


「ええ、招待状の発送は私から指示を出すまで待ってちょうだい。
そうね…あと数日で…ええ…ええ…」
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「お願いね…」



カチ…
まだ亮の意思も確認しないまま、婚約の準備を着々と進める麗華。
だが、このみの電話から数日経っていたが亮からはまだ何の音沙汰もない。
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焦りと苛立ちが少しづつ募っていく。



コンコン…
「あの…お嬢様。旦那様がお話があるとおっしゃっていますが…」
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「お父様が…?」
「はい。すぐに下に降りてくるようにと…」



「これから出かけるの。忙しいのよ、お父様には後できちんと説明すると伝えてちょうだい」
「ですがお嬢様…」
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「忙しいと言ってるでしょ!?」
「も…申し訳ありませんでした!失礼します!」



(私はどうしてこんなにもイラついているの?
事は自分の思い通りに運んでいると言うのに、こんなにも不安になるのは何故なの?)
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勝利を目前としているのに、陰鬱な雲が彼女の胸の中で広がっていた。



カチャ…
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それはまるで、晴れる事のない真っ黒な暗雲が、
これからやってくる嵐を今か今かと待っているかのようだ。



おかしい…もうとっくに何らかの動きがあってもいいはずなのに…。
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彼女はあの時、すぐにでも亮と別れると言ったはずだ。
なのにいったいあの娘はクズクズと何をやってるの!



何かが気に入らない…。こんな風に不安になる事も、イラつく事も。
そしてこうやって先の見えない状態で事を進める事も気に入らない!
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早く確信が欲しい。亮を確実に得られると言う確信が。



いいえ…少しナーバスになっているだけよ。自分を見失ってはいけない。
そう、こんな不安など受け入れてはならないのだ、私らしくもない!
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勝利は目の前ではないのか?
何故なら、あの娘の方から亮を捨てるのだから…。



「ですからルビーちゃんの移植の手配を…」
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「そう、決めたのね…。けれど分かっているのかしら?亮はバカじゃないわ。
あなたの方からきちんと別れなければ納得しなくってよ?」



「それならいいわ。それなら亮もあなたに未練を残さないと思うわ…。
よく決心したわね。でもあなた達二人にとってその選択は一番の解決策だと思うわ」
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「では…私はこれで…」



そしてこのみも麗華と同様、行き場を失った心に不安と闇を抱えていた。
あの日、あの電話をしてから数日が経った今も、体が動かない。
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だがルビーの命の終わりのカウントダウンは止まってはくれないのだ。
重い腰を上げ、動き出さなければならない。



しかし動き出したが最後、もうすべて終わりだ、後戻りは出来ない。
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ああ…何故あの悪魔のような女にわざわざ電話してしまったのだろう。
愚かとしか言いようがない…。



けれどそれは何故なのかはこのみには分かっていた。
それは後戻り出来ないようにするためだ。
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自分の迷いを吹っ切るためにも、どうしても必要な事だった。



そして、どんな風に亮に別れを告げるのが一番いいのかも、このみは分かっていた。
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「リンダ……これでいいのよね…そうだよね?」



- 病院 -



「監督!」
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「亮…」



「どうですか、ルビーの様子は?」
「ああ…なんとか無事に乗り越えた。だがICUからは出られんだろう…」
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「そうですか…」
「この間はすまなかったな…取り乱してしまって…」



「なに言ってるんですか…取り乱すのは当たり前です」
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「覚悟はしてたつもりだったんだが…いざとなるとな。
こんな事じゃルビーに笑われちまうな。それでなくともどっちが親か分からんのに…」
「監督…」



「ところでお前はいつ行くんだ?そろそろ向こうの町に行かんといけんだろ?」
「ええ…。来週にはと思ってますが…」
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「こっちの事は気にしなくていいから早いとこ新しいチームに入って体を慣らせ。
結婚も控えてる事だし、しっかりと体調管理をしろよ」
「はい…」



「来てもらって悪いんだが、俺は一度家に帰って着替えてくるよ」
「あ、俺はルビーの顔を見たら帰ります」
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「そうか。じゃ、またな」
「ええ…」



(監督…)
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亮は監督がここ何日かで急に年を取ったように感じた。
相当まいっているのだろう。



彼と出会ったのはこの町のチームに入ってすぐの事だった。
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ケガのせいでどうしても体が言う事を聞かない事に苛立ち、
自暴自棄になっていた自分をずっと励まし、見守り続けてくれたのがあの監督だった。



いわば彼はどん底から引き上げてくれた恩人だ。
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そんな監督を置いて、いまここを離れる事がどうしようもなく不安になってきた。



だが麗華のあのバカげた案を受け入れるつもりは毛頭ない。
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このみを手放す事自体、亮自身が出来ないからだ。
彼女はリンダ以来、初めて愛しいと思った女性だ。



いや、例えリンダに恋をしていたあの頃に戻ったとしても、
また彼女に惹かれ、そして恋をするに違いない。
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何故なら、もう彼女のすべてを知ってしまったからだ。



クルクルとよく動く目。ドンくさくてユーモアたっぷりの天然ぶり。そして…
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柔らかなあの体…。



彼女のすべてを知った今となっては、彼女を愛さずにはいられない。
だから何があっても彼女を手放せない。絶対に。
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(ルビー…)



一方、シルヴァーを追い出す事に決めたローリー。
しかしそれを言い出すのはやはり気が重い。
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同情に駆られたとは言え、自分から言い出してしまった事だからだ。



だけどいつまでも同じ場所に立ち止まってる訳には行かない。
シルヴァーを追い出さない事には何も始まらないのだ。
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「さてと…」



彼に飛ぶ込むと決めた以上、クズクズしているのは性に合わない。
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例えゴルゴが自分を受け入れてくれなくとも、それでも構うもんか。
そんな事にビビッてたらローリーの名がすたる!



ローリーは硬い意思を胸に、大股でシルヴァーに近づいた。
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「シルヴァー、ちょっといい?話があるんだけど」



「話?」
「単刀直入に言うわ。もう出て行ってもらえない?」
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「え…」
「ここから出て行って」



「お…おいおい…なんだよ急に…」
「急にじゃないわ。もう何日ここにいると思ってるの?もう限界よ」
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「ちょ…待てよ…ローリー。俺が仕事と家を見つけるまで…」
「シルヴァー…ごめん。やっぱり無理なの。それに私もほんの2、3日のつもりだったし…
なのにいつまで経っても見つからないから…」



「マジ、すぐに見つかるって!今日もこれから面接に行こうと思ってさ」
「ごめん、出て行って…」
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「だからさ、ほんとにマジで…」
「お金も渡さないわ。自分でなんとかしてちょうだい」



「なんだよそれ…」
「友達のところにでも行きなよ…」
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「でも俺には…」
「お願いだから!」



「男?」
「え…」
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「この間の男のせい?お前、惚れてんだろ?」



「なに言ってんのよ…」
「図星だ…。相変わらず分かりやすい女だな…」
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「どうでもいいでしょ…。とにかく出て行ってよ…」
「いいけど…」



「ほんと…?」
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「ああ…。その前に、荷物をまとめないとな…。それぐらい手伝ってくれんだろ?」



「もちろんよ!」
「なんだよ…急に元気になりやがって…」
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「だって!あんたがこんなに素直に「うん」って言うと思わなかったもの!
荷物をまとめるぐらい手伝うわよ!」



「へえ~……最後まで優しいのな…。あの男が羨ましいね…」
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(よかった…。さあ、後は沙織だけね…)



- 同時刻 -



「ふん♪ふふん♪ふ~~ん♪」
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鼻息も荒く、新たな人生をスタートさせようとしている鈴之介。



「うん、ヒゲも剃った、シャワーも浴びた、レストランの予約もした。
これでデートの準備はすべて整った!僕としては上出来だ」
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もう振り返らない。甘い沙織の空想も頭を振って考えないようにした。
後は時が解決してくれるだろう。



そう、沙織以外の女性と交流を持てば、きっと何かが変わる。
それにあの彼女(させ子)とのデートはなんだか楽しかった。
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途中で逃げ出したとは言え、とても有意義なひと時だった事は事実だ。
もちろん今回はあんなような失態は絶対にしない。



そもそもあんな事はまだ早い。もっと友好を深め、お互いを知り、
そして初めて次の段階へと進めればいいんだ。
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「よし!」



と、意気揚々とデートに向かおうとしている鈴之介だが、
果たしてさせ子はそんな悠長に友好を深めようとするだろうか…?
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いやいや、いくらさせ子でも前回は逃げられたのだ。
さすがの彼女も少しは懲りただろう。



そう…少しは…



懲り…



懲…



「うふふふふ…♪これでバッチリね。前回はちょっと刺激が少な過ぎたんだわ♪」
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「これならあのお坊ちゃまもヨダレを垂らして飛び掛ってくる事間違いなしね!
今度は逃がさないぞっ」



バッキューン
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葉…葉っぱ?



そして沙織はと言うと、鈴之介から違う女性の存在を知らされてからと言うもの、
どう言う訳かその事ばかりを考えてしまう。
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その女性とはいったいどんな女性なのだろうか。



ああ、どうしてこんなにも気になるのだろう。
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見知らぬその女性と鈴之介が笑い合っている光景を思い浮かべると、
その辺にあるテーブルを蹴りたくなってくる。こんな風に思うなんてどうかしてる。



スクッ
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「何もする事がないからこんな事ばかりを考えてしまうんだわ…。
外の空気でも吸ってリフレッシュしなくては…」



と思い立った沙織だが…



「あ…」
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「あ…」



バッタリ
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と、思いっきりマンガのように行きって会ってしまう二人。



「や…やあ!」
「こ、こんにちわ。こ…これからお出かけですか…?」
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「ええ…これから例の女性と食事…いえ…デートなんです…」
「え…」



「思い切って電話したら向こうも僕を気にかけてくれていたみたいで」
「そうですか…」
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「どうですか?僕のこの格好、おかしくないですか?」
「え?…いえ…おかしくありません。とても素敵ですよ…」



「それはよかったです!なにせまともなデートなんてした事がなかったもので!
何を着て行くか5時間も迷ってしまいましたよ!はっはっはっ~」
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「5時間も……ですか…?」
「はい(笑)浮かれ過ぎですよね、笑ってやって下さい(笑)」



「き…今日はとても爽やかな陽気ですし…デートをするにはとてもいいですね!
どうぞ素敵なデートを楽しんで下さい」
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「ええ…そうします。では僕はこれで…」



「行ってきます…」
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(ええ、楽しみますよ、もちろん…。あなたの事を忘れるぐらい…楽しみます…)



「行ってらっしゃい…」
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沙織はこの時、無性に鈴之介を呼び戻したい衝動にかられた。
けれど、それをしたらいけないのだ。



そう、彼が言うように私達はもう婚約を解消した身。
もう私は彼にすがりついてはいけない…。
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そしてもう二度と、あの暖かい腕の中へ安心を求める事は許されないのだ…。
でもそれは私が自分で望んだ事…。ゴルゴさんへの恋心を抑えきれない私が…



なのに何故、こんなにも淋しいの?どうして鼻の奥がツンとなるの?
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分からない…。分からないけれど、
彼が私以外の女性を守るようにエスコートする姿を想像すると、なぜか息苦しくて…



「沙織!」
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「今いいかな?」
「あ、はい…」



「どした?顔色が悪いけど?」
「い、いえ…そんな事は…」
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「そう?ならいいけど…」



「沙織、あのさ…私ね…沙織に言わなきゃならない事があるんだ…。
って言うか謝らなきゃって言うか…なんて言うか…」
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「あのさ…」



(そう言えば私は鈴之介さんとデートと言うデートなんてした事なんてあったかしら?
二人っきりでデートと言う目的でどこかに行くと言う事なんて…)
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(そうよ、たまに出かけても彼はいつも絵を描いてばかり…。
私だってたまには映画を見たりショッピングしたり、そんな事をしたかった時もあったのに…)



「ゴルゴの事なんだけどね…。
ごめん、私あんたに嘘ついてた。ずっと自分の気持ちを誤魔化してあんたに…」
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「今更なのは分かってる…。私も自分でも情けないと思うけど…」



(なのに今日はキャンバスを持って行かないの?絵の具は?
その女性と会うのに5時間も洋服を選ぶのにかかったのに、私の時は5分だったわ!)
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(どこへ連れて行くの?映画?公園?それとも恋人達で賑わう素敵なレストラン?
私の時は山か川か谷だったのに!)



「でさ、やっぱりフェアじゃないって気づいたんだ。アイツに気持ちを伝える前に、
あんたにちゃんと言わなきゃと思ってさ…」
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「シルヴァーにもちゃんと出て行ってもらうよ。さっききちんと言ったから。
もういい加減な事はしない。ちゃんと正々堂々とね…」



(なぜか無性に腹が立って来たわ!二人はどこでどんなデートをするの!
イライラするわ…。とってもイライラする…)
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「私…」



「あ~もう!早い話が私もゴルゴの事をね…」
「ローリーさん…私…」
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「ほら、ちょっと意地になっちゃったって言うかさ…」



「私!」
「分かってる!嘘をついたのは悪かったと思ってる!ほんっとごめん!」
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「失礼します!」



「だからね沙織……」
「のっぴきならない用事を思い出しましたので失礼します!」
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「って…は?」



「ちょ…沙織!まだ話は終わってないよ!沙織ってば!!」
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体が勝手に動き出していた。もう止まらない!やめられない!



そして向かった先は………



そう、鈴之介を追いかけたのだ!彼女はマッハゴーゴーの猛スピードで彼を追いかけた。
今ならオリンピック選手になれる事間違いなし程のスピードだ!
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追いかけて追いかけて…あっと言う間に追いつき…そして…



隠れた(笑)
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しかしこれはどう見てもストーカーに近い気がするが…ま、気のせいだろう。



「なにあれ…なんなの?せっかく勇気を振り絞って言おうとしてたのに…。
って言うか足、速くね?」
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ローリーは沙織に、ゴルゴへの思いをきちんと言っておこうと思ったのだ。
気持ちを偽るのはやめにしたい。



そう、自分の心を騙すのは、いつ、どんな時も難しいし苦しい事だ。けれど悲しいかな…。
人はそうしなければならない時がある。たとえ、後悔する事が分かっていても。



カタ…
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そして、決して巻き戻す事の出来ない時間を悔やみながら、虚しい願いを口にする。
時よ………戻れ…



ツルルルルル…
ツルルルルル…



「お前、人の家の前でなにやってんの?」
「何って…座ってんの…」
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「んな事は分かってるよ…。そんなとこに座ってねーで中に入ってろよ」
「ちょっと考え事があって外の空気を吸いたかったの!」



「はいはい、どうせローリーの事だろ?」
「べ、別にアイツの事じゃねーよ!」
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「ったく素直じゃねーな。粋がってねーで電話でもなんでもしろよ」



「え?そう?…そうね、電話ね…。だよね、うん。ほんじゃさ…ご飯とか…誘って見るとか?
中々いいね…うん。じゃ…いっちょ やっちゃう? ね、俺やっちゃう?」
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「やっちゃって…」



カチャ
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「亮様、おかえりなさいませ。ちょうどこのみ様からお電話が入っております」
「ああ、病院にいたから携帯の電源を切ってたんだ。今行く」



(よ…よかったら…ぼ、僕と…しょく…食事…食事…行きません…か?二人っきりで…。
ね、どう?行く?行っちゃう?)
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(……って…なんか変じゃね?  なんて言って誘ったらいんだ?)



「わりー電源切ってた」
「ああ…行って来たよ…。まだICUからは出られないらしい…ああ……ああ…」
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「で、どうした?もう整理は終わった?」
「…ん?話?なに?いま言えば?」



「いいえ…直接会って話したいんです…。ええ…ええ…」
「じゃその時に又お電話します…はい…はい…」
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(なんだ…?)



確かに私は神ではない。けれどどうすればいいと言うのだ。
私が出した結論が少女の運命を変え、神の怒りを買うかもしれない。
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だがそもそも神に怒る資格があるのだろうか。
だって神はあの幼い少女の命を奪おうとしてるではないか!



そうよ、彼女は死ぬ事が運命なんかじゃない、生きる事が運命なのだ。
そして私は彼と一緒にはなれない…それが私の運命なのだ。
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ええ…その代償を背負う覚悟はもう出来てる…。
もう出来てるわ!



著作権者様から許可をいただいてお借りしているBGMです。
よろしかったらお流し下さい。音量にご注意ください。







「これだけだっけ?」
「ああ…俺の荷物なんてビビたるもんさ」
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「落ち着けば増えるわよ。何か忘れ物があったら電話して。送ってあげるから」
「分かった…」



「シルヴァー……結局何もしてあげれなくてごめん…」
「いいさ…」
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「じゃ…元気でね…」
「お前もな…」



「なんて…俺がマジで素直に出て行くと思ってるわけ?」
「え…」
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「ふざけんなよ…」
「シルヴァー…?」



「お前、何か勘違いしてねーか?」
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「どういう意味よ…」



「ちょ…なにやってんのよ…」
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「何って…見れば分かんだろ?お前と愛を深めようと思ってるのさ」
「はあ?」



「あんな、俺がこうなったのは誰のせいだと思ってんだよ?分かってんのか?」
「何言ってんのよ!ふざけないで!」
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「全然ふざけてねーっつーの」
「やめてって言ってるでしょ!?」



「やめ…やめて!」
「逃げんなよ!」
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「シルヴァー!」
「俺はな~、お前なんかと出会ってなければ今頃は全部うまく行ってたんだ。
お前がグダグダ小言ばっか言うから俺の運が全部逃げて行ったんだよ!」



ドサッ!



「言いがかりはよしてよ!」
「惚れた男が出来ただ?なにほざいてんだよ?あ?
あの男、知ってんのか?お前が過去にテメーのガキを二人も殺した事をよ!」
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「ちょっと!」
「どうせすぐに捨てられるに決まってんだ。そんな事になる前に…」



「シルヴァー!」
「俺が好きだろ?あの頃、しつこいぐらいに俺にすがってたじゃねーかよ。
その俺が帰って来てやったんだ」
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「離して…っ!」
「お前みてーな女を相手にすんのは俺ぐらいだって事をそろそろ分かれよ!」



「あの頃のように欲しくてしょうがなかった俺の体をくれてやるよ!」
「いい加減に…っ!」
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「お前は俺に…」
「…シル…」



「惚れてんだよ!」
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「あっ…」



「へへ…さすがだね…お前の体は今でも俺を覚えてる」
「シル……」
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「おとなしくしろよ、もう無駄だ」
「シルヴァー!」



ローリーは抵抗しても無駄だと分かっていた。
それでも足をバタつかせ、なんとか逃れようとしたが、やはり無駄だった。
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ああ…私は救いようのないバカだ…。情けなくて声も出ない。
ちょっと考えれば、こんな風になる事は予想出来たはずなのに…。



何がゴルゴへ飛び込んで見るだ…。こんな私…受け入れてくれっこなんかないのに…。
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もう私なんか消えちゃえ…消えて無くなっちゃえ…



(出ねーし…。もしかしてシカトぶっこかれてるとか?)
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(ったく…なにやってんだよ…。出ろよな…)



「約束通り金は用意してくれ」
「出て行って…」
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「なあ…俺だってここまで…」
「出て行って!」



「へいへい、出て行きますよ」
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「あ、一つ言い忘れけど、避妊はしてないぜ?
万が一ガキが出来てたら今度こそ生ませてやるよ。嬉しいだろ?」



出てけーーー!
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「はあ…はあ…」



「は……はは…おかし…笑える…ほんとにやって来た…やって来たよ、このみ…。
ほらね…こうやって必ず代償はやって来るんだから…だからそう言ったじゃん…」
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「そう言ったじゃん…」




続き、第43話(別館)へ 「続、男は辛いよ」 
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第35話 「男は辛いよ(後編)」

*二度目の恋 君に逢いたくて…第35話



「こんばんわ」
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「うふふふ…」



「あ…こ…こんばんわ…」
「お一人ですかぁ~?」
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「え…ええ…まあ…お一人で……す…」
緊張気味の鈴之介。



「わ~偶然ね♪ 私も一人なのぉ~♪」
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と、キャピキャピと笑うこの女性、どこかで…



(女性が僕に話しかけている…。こ…これはもしや誘っているのでは…?
で、でも何を話せばいいのか…)
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(いいや、そんなんだからいけないんだ。僕だって男だ!
せっかく声をかけてくれたのだから、僕の方から誘ってデートの一つも…)



「そのお洋服とっても素敵ね!シャツの隙間から見える胸が凄く素敵って感じ…」
「え!そ、そうですか…て…適当に選んだのですが…」
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「とっても素敵よ…うふふ…」
う~ん…やはりこの娘はもしや…



「最高ねっ♪」
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そう、この女はゴルゴが出会った感度抜群のビンゴ女だ!
鈴之介はまさかゴルゴが出会ったビンゴ女とは露知らず、心を決めた。



「あ…あの…よ…よろしかったら僕と一緒に…その…」
「え~~~?私を誘ってるの?」
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「いや…その…誘ってると言うか…その…ふ、不愉快でしたらその…」
「うふふ…私、全然不愉快じゃないわ。むしろとっても愉快って感じ…」



「そ…そうですか…。では…デ…デートと申しますか…その…お嫌でなければご一緒に…」
「いんですか?や~ん、嬉しい♪」
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と、あっさりナンパが成功。



やがて二人は席を立ち、店を後にした。
「で、ではどこへ行きましょうか…どこか行きたい所とか…その…」
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「えっとぉ~どこでもいいって感じ…」
「どこでも?…なら…お腹はすいてませんか?よろしければお食事でもいかがですか…?」



「ほんと!ちょうどお腹がすいたな~って思ってたとこなの!」
「そ…それはよかったです…。で、ではどんなお料理を…」
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「私、何でもいいですぅ~」
「なんでもですか…困ったな…」



「本当に何でもいいですぅぅ~♪」
「…では若者に人気のパスタ屋さんでも?
あ、お若い方にはハンバーガーとかの方がよろしいでしょうか?」
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「私…ハンバーガーって言うよりぃ~ナイフとフォークが使える所って言うかぁ~」
「ナ、ナイフとフォークですか?ではフレンチレストランとか…?」



「嬉しい…。超ビンゴって感じ…」
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(ビ…ビンゴ…?)



「私、フレンチレストランに行きたいと思ってたの。コース料理が食べたいって言うかぁ~」
と、ちっとも何でもよくないビンゴ女。
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「わ…分かりました…。ではそこへ行きましょう…」



「あなたのお名前はなんて言うの?」
「ぼ、僕は芦屋です…芦屋鈴之介と申します…」
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「芦屋?ふ~ん…なんだか凄く由緒のある苗字ね」
「そんな事は…」



「でもなんとなくどこかで聞いた事があるって感じ。…どこでだったかな?」
「そ…そうですか…?よくある苗字ですのでそのせいかと…」
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「ううん、そうじゃなくて…どこかで…そう…あなたの顔もどこかで見た事が…
そう言えば確かいつかの経済新聞で…」



「はっ!もしやあなた芦屋財閥の?!」
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「そうよ!経済新聞であなたの顔を見た事があるわ!
あなた芦屋財閥の一人息子でしょ?家族で載ってたのを見た事あるもの!」



「え、ええ…まあ…そうですが…」
「嘘…すごーい…」
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「けど僕はそこの息子ってだけで…僕自身は凄くなんか…」
「凄い、凄いわ!芦屋財閥のお坊っちゃんと出会うなんて!」



「いえ…ですから僕は全然凄くなんか…」
「そう言えばどことなく気品が感じられるぅぅ~」←聞いちゃいねー
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「そ…そうですか?」
「なんか運命も感じちゃうって感じ~…」



「う…運命…?」
「そう、運命…うふふ…。これも何かの縁かも?」
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「はは!そうですね、確かに縁かもしれないですね!」
「絶対にそうだと思うって感じ…」



(運命か…)
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(それなら僕と沙織さんは運命の相手ではなかったって事か…)



「あ、バカにしてるでしょ?」
「そんな!バカになんて!」
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クスクス!いいのよ!私だって運命なんて言葉、この年になって言うなんて笑えるもの。
でもあなたにはそう感じるの。不思議ね…」



「私、なんだか今日は楽しいわ!ビンゴに一発で当たったって感じ!」
「ビンゴですか(笑)」
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「そう!ビンゴよ、ビンゴ!」
「僕もです(笑)何故かあなたとは話しやすくて…その…とても楽しいです」



そして二人は食事を楽しんだ。
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だが…話の内容はもっぱらビンゴ女の質問がほとんどだった。
もちろん、芦屋家の財政状態の事とか財政状態の事とか財政状態の事とか…。



食事が終わり、店を後にした二人。
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思いの他話が盛り上がり、鈴之介もすっかり打ち解けたようだ。



「今夜は楽しかったです…。あんな風に女性を誘ったのは初めてでしたが、
なんだかとても楽しかったです…ありがとうございます」
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「私も~!超楽しかった!ねえ、これからもう一軒行かない?今度は私がご馳走してあげる!」



「そんな!女性にご馳走になるなんて!」
「全然いいのに~(後で何十倍にもして返してもらうから)」
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「いけません…。それに今夜はもう遅いですし、女性を遅くまで連れまわすのは失礼です」
「そんな~私は全然平気って感じなのに~」



「お父様やお母様が心配されますよ。今夜はもう帰りましょう」
「え~~…せっかく(金持ちと)出会ったのに…」
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「ではタクシー乗り場までお送りいたします」
「うっそぉ…ほんに帰っちゃうの~ぉ~?」



「さ、行きましょう」
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(信じらんな~い…)



「あっ…!」
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「え?」



「……っ痛…!」
「どうしたんですか?!」
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「私…何故か急にお腹が…」



「だ、大丈夫ですか!」
「ダメみたい…。すご~くお腹が痛いの…」
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「こりゃ大変だ!」



「と、とにかく病院に行きましょう!」
「ううん…病院よりどこか横になれる場所へ連れてって欲しいって感じ…
横になれば楽になると思うの…」
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「横に?困ったな…。ではそこの公園のベンチで横になりましょうか?」
「や…ん…公園のベンチじゃなくて もっと柔らかい所に横になりたいって言うかぁ~」



「ゲホッ!ゲホッ!…早く…早く連れてって…柔らかい場所へ…」
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「柔らかい…?柔らかいとはいったい…?」



「あ!」
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「え?!」



「あそこに…あそこなら柔らかい所(ベット)があると思うの…」
「あそこ…?あのお城…ですか?」
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「あのピンクの建物の中にならたぶん(絶対)あると思うの…(ベットが)」
「あそこは…」



「その…あそこはですね…その…あなたは存じあげないかも知れませんが…」
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「困ったな…あ…あそこはですね…
僕もなんとなく存知あげている程度ですが…その…いか…いかがわ…いか…」



「いたーい…痛くて死にそ~!早くぅ~そこへ(ベットへ)連れてって~!」
「大丈夫ですか!」
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「ダメ!死にそう!」
「わか…分かりました!とりあえずあそこへ行きましょう!」



と言ったとたん、スタスタ歩き出したビンゴ女。
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腹痛はどうした?



やがて、鈴之介も彼女の後を追い、
二人はフカフカの柔らかい所(ベット)がある場所へと向かって行った…。
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そこは天国が地獄か…
いずれにしろ、鈴之介にとっては大変に想い出深い夜になる事だろう…。



ドサっ!
部屋へ入ったとたん、ビンゴ女は苦しそうにベットへ倒れこんだ。
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「はあ…はあ…お水…お水ちょうだい…」
「は…はい、すぐにお持ちします!」



(あんなに苦しそうに…。
大丈夫だろうか?何かあったらどうしたらいいんだ!やぱり病院へ行った方が…)
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(そうだ…その方がいい。とにかく今は水を飲ませて…それから病院へ連れて行こう…)



カチャ
「大丈夫ですか?お水をお持ちしました。
やはりですね…僕は病院に行った方がいいと思うんですよ…」
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「何かあったら大変ですし…。ですからお水を飲んだら病院へ……びょ…」



「病…院…へ…」
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何故かほとんど素っ裸に近い状態で優雅にポーズをとってるビンゴ女。
はっきり言ってあんなに中が丸見えなら、
何にも着なくても一緒なんじゃないかと思うほどのスケスケ具合だ!



「あの…何故洋服を……?」
「えへ♪ 私ったら恥ずかしいっ!
あのね、苦しかったから洋服を脱いだの。そしたら気分がよくなってきたみたい♪」
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「よくなった…?」
「きっとベルトでウエストを締め過ぎたのね♪」



「そう…ですか…それはよかった……ほんとによかった…」
「ね、鈴之介さん…。よかったら私と一緒にベットに入らない?」
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「え!?」



「私…暖めて欲しいの…だって寒いんだもん…」
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寒いなら、早く服を着て下さい、ホトトギス…(鈴之介、心の唄)



「嫌?」
「い…いや…それは…その…」
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「私とじゃ嫌なの?」
「い、嫌とかそう言う問題ではなくてですね…その…僕達はまだ知り合ったばかりだし…
あの…こういう事はまだ……」



「それもそうね♪ 私ったら急ぎ過ぎよね(笑)ごめんなさい」
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と、あっさり引いたビンゴ女。これで終わるのか?



「せっかく部屋も取ったんだし、少しだけお酒でも飲みましょうか♪」
「お酒!?けれど大丈夫ですか?又具合が悪くなったりしたら…」
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「いいからいいから♪ そこに座って少し飲みましょうよ♪」
「でも…その…」



「ささ、グイッと飲んで♪」
「あの…その前に洋服は着た方がよろしいかと…」
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「あ~ん、また洋服を着たらお腹が痛くなっちゃうもんっ」
「そ…そうですよね…そう…です…よね…」



「早く飲んで♪ イッキって掛け声かけてあげる~~」
「イッキ…ですか…?」
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「飲んでってば~。二人の出会いに乾杯しましょうよ~。ね?鈴ちん♪」
「え?どうして僕が呼んで欲しい呼び名を…?」



「だって鈴之介さんって呼んでもいいけど、なんとなく他人行儀過ぎるかなと思って…
鈴ちんの方が親しみやすくていい感じって思ったの…」
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「ぼ、僕も実はそんな風に呼んでいただいた方が…」
「でしょ?クスクス!ほらほら、いいから飲んで♪ イッキイッキイッキ!」



「は、はい!ではいただきます!」
ゴクッ…ゴクッ…ゴクッ…
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「キャーーーー!素敵~~!飲みっぷりも最高にセクシーなんだからぁ~」
と、バリバリのテンションで盛り上げるビンゴ女。正体見たり…



「セ…セクシーですか?初めて言われました!」
「えーーーー!うっそ~!鈴ちんぐらいセクシーな男性なんていないのにィ~~
その胸の隙間から漂うセクシーな香り…やんっ!酔っちゃいそうって感じ!」
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「な、なんだか僕…もう一杯飲みたくなりました!」



「飲んで飲んで!素敵よ!鈴ちん!」
「ありがとうございます!」
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と、盛り上がってきた鈴之介。
そして鈴ちんは、ビンゴ女に言われるがままに次々と酒を飲み干した。



― 1時間後 ―


「鈴ちんって~~彼女とかいないの?」
「そ…そんな人はいません…」
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「ふ~ん…好きな人も?」
「い…いません…」



「あ~~!本当はいるんでしょ?そうでしょ!」
「はは…あなたには適わないな(笑)」
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「ビンゴだったでしょ!?」
「はい(笑)」



「けれど…叶わぬ恋と言いますか…その…失恋したと言いますか…」
「うそ…。こんな素敵(金持ち)な人を振る人なんているのね…。信じられない…」
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「いや…僕なんか全然…全然…」



「でも人生には時にはそんな事もあるものよ…。
だけどそれで臆病になってちゃダメ!早く次のステップへ羽ばたかなきゃ!」
「次のステップへ?」
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「だって鈴ちんったらこんなに素敵なんですもの…。次のステップなら必ず羽ばたけるわ…」
「次の……ステップへ羽ばたく…?」



「そうよ…。勇気を出して羽ばたくの…パタパタと…」
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「ふふ…でももう、すでに羽ばたいているかも知れないって感じね…」



「え!す、すでにですか?!」
「ほら…目の前の私をよく見て…。次のステップが見えるでしょ?
前につまづいた事なんて早く忘れて、次に向かって大きくジャンプするの…」
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「ジャンプ…」



「ホップ…ステップ…ジャ~~ンプ…」
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「って感じ…」



「それに、鈴ちんには悪いけど、あなたが振られてラッキーって思ってるの!」
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「それは…どう言う…」



「うふふ…知りたい?」
「し…知りたいと言いますか…なんと言いますか…」
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「じゃ教えてあげる。覚悟はいい?」
「え?」



ガバッ!
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ぶちゅぅぅぅぅぅぅぅ!



「こう言う意味!」
「な、何を!」
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「やんっ、鈴ちんたら照れちゃって♪」
「て…照れとかそう言う問題では!」



「どんな娘か知らないけれど、あなたが振られてよかった…。だって…
と言う事は…いまこんな事をしても誰も悲しむ人がいないって事でしょ?」
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「悲しむ人…?」
「だ・か・ら、私はラッキーなのっ」



「けど…」
「いいじゃない…私達は大人の男と女なんだから…。
あなたと二人…こんな狭い部屋でいたら私…今夜どうなってもいいって感じ…」
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「ど…どうって…?」
「しー…これ以上野暮な事は言わないで…」



「あ…」
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「私もあなたもおたがい、誰もいない淋しい者同士…
こうやって出会ったのも何かのお告げかも知れないわ…。私達の運命………って感じ…」



ドサッ
二人は勢いよくベットへ倒れ込んだ。
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と言うより鈴之介が勢いよく押し倒されたと言った方が正解(笑)



「そんな淋しそうな顔しちゃダメよ…」
「僕…そんなに淋しそうな顔をしてましたか?」
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「してるわ…。
でも今夜は私がいるからもうそんな顔はやめて…(なんなら一生側にいてあげる)」



(僕は淋しい顔をしている…。振り向いてもくれない沙織さんを思って僕は…)
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(そうだな…僕にはこんな事をしても誰も悲しむ人はいないんだ…。
こんな事をしても沙織さんは…沙織さんは……気にもしないだろう…)



「君の名前は…?」
「私…?うふふ…私ったら自分の名前を言うのを忘れてたわ(笑)」
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「僕の方こそ聞かなかった…。君の名前を教えて下さい…」
「私の名前はね……名前は……」



チュッ…
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「さ・せ・子」



「うふふ…私の名前はさせ子よ…」
「なんて素敵な名前なんだ…」
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「よく言われるわ…」



「させ子さん!」
「鈴ちん!来て!」
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そして鈴之介は我を忘れるようにさせ子に覆いかぶさった。



これはいけない事だろうか。だけど僕だって男だ。
彼女(させ子)も言ってた通り、僕達は大人の男と女じゃないか…
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そうだ…これも何かの縁かも知れない……
鈴之介はそんな事をぼんやりと考えながら甘い誘惑に没頭して行った。



だが、問題が一つだけある。もちろん、それは彼は未経験だと言う事だ。
何をどうしたらいいのかまったく分からない。
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この次はどうしたらいい?何をしたら…?
ええーい、ままよ!



鈴之介はとりあえず、
チュッチュッ、チュッチュッと鳥のようにさせ子の胸の周辺をつつき出した。
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その時だった。させ子の甘い?…声が漏れ出したのは…



「いやんっ!エッチ!」
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ビクッ!



「あんっ!ダメっ!イヤっ!」
す、すみません!
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「あーん…やめないで~~」
「けど…僕は嫌な事を…」



「あんっ!全然全然嫌じゃないのぉぉぉぉ~~~!」
「でも…」
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「お願い…もう一度…」



鈴之介はいったいどっちなんだ?
と思いながらも、もう一度させ子の胸の近くを鳥のようにつついた。
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「あ~ん、素敵~~!!!!!!」
たぶん、それが彼女にとってはとってもいい事なのだろう(笑)



「やんっ!あんっ!凄い!ステキッ!あんっあんっ!そこよ~!ビンゴなのぉぉ~!!!!」
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「ビ…ビンゴ…?」
「ビンゴビンゴビンゴ~~~!」



「あの…僕…」
「あんっ!やんっ!凄ーい!とってもホップでステップでジャンプだわ~~!」
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と、さっぱり意味が分からないビンゴ女(笑)



「えーと…」
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このビンゴ女の雄たけびで、すっかり我に返った鈴之介(笑)



「鈴ちん、早くぅぅぅぅぅぅぅ~ジャンプしてビンゴして!」
「あの…」
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「あんっ!やんっ」
「や…やはりこれは…」



「鈴ちんったら~ビンゴは~?」
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「ぼ…僕!僕帰ります!やはりこれはイケナイ事です!」
「え~?どうしたの~?突然…」



「すみません…」
「なんでえ~?これからがクライマックスなのに…」
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彼女のクライマックスはこれからが本番なのか?だとしたらいったい…(笑)



「本当に申し訳ありません…」
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「鈴ち~ん…」



「申し訳ありませんがお一人で楽しんで下さい!僕はお先に失礼いたします!」
ダッシュ!
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「あ~ん…ビンゴはぁ?…」



(はあ…はあ…はあ…僕は…僕はなんて事をしようとしたんだ!
あんないたいけな女性を欲望にまかせたまま押し倒すなんて…なんてなさけない奴だ!)
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どう見ても押し倒したのはビンゴ女の方なのに、どこまでもお人よしの鈴之介(笑)



ツー
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(し…しかも…しかも…こんな時でも鼻血が出るなんて!僕は…僕は…)



なんて野蛮な男なんだぁーーーーーーー!
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と、月に向かって吠えた鈴之介であった…(笑)




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第31話 「長い夜」

*二度目の恋 君に逢いたくて…第31話

カチャ
「来てたのか」
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「亮さん…」



「お兄ちゃん!ケーキあるよ!」
「お!うまそうだな~」
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「ルビーね、一個もう食べちゃった♪ 凄く美味しかった!
お兄ちゃんも食べて!早く食べないとルビーが全~部食べちゃうよ?」
「残念だけど今日はもう帰る時間なんだ」



「このみちゃん、そろそろ帰ろう」
「え…でも…」
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「今日はもう遅いし、ルビーの具合が悪くなるといけないから」
「はい…」



「えーーーー!もう帰っちゃうの?ケーキは?ケーキは食べないの?」
「ルビー、また来るから。ケーキは明日食いな。今日はもう食べちゃだめだ」
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「もう一個いけそうなんだけどな~」
「だーめ(笑)食い過ぎるとデブるぞ?いいのか?」



「そうね、デブるのはルビーも嫌だわ!美貌が崩れるものね!」
「な~にが美貌だよ(笑)」
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「だって本当の事だも~ん!」
「分かった分かった(笑)じゃ又な」



「行こう、このみちゃん」
「ルビーちゃん又ね」
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「うんっ!待ってるからね」



亮は一刻も早くこの場所から離れたかった。
これ以上、監督と言い合いをしたくもなければ土下座を見るのもごめんだ。
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そして何よりも、ルビーの顔を見たくなかった。



もちろん、麗華との結婚は断った。そんな事は当たり前の話だ。
だが、笑ってルビーの顔を見る事はどうしても出来ない。
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当たり前の正義を貫いた事に後ろめたさを感じている訳では決してない。
ただ…ルビーのあの笑顔が心に痛かった。



ルビーのくったくのない笑顔は、亮の心にズシリと響き
心臓をわし掴みにしていた。
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そしてこのみも又、先の見えない不安に怯えている自分に気づく。



亮は絶対に断ったはずだ。そんな事は分かっている。
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けれど黙りがちな彼の態度と、
口を一文字にギュッと閉じているその沈黙が何かを物語っているようで怖い。



この先、私達はどうなるのだろう。
このまま黙って一緒にいてもいいのだろうか。
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このみはふと思った。隣にいるこの人が…
もうすぐ手の届かない場所へ行ってしまいそうな…そんな気がして…。



一方、沙織に愛の告白をされ、呆然と突っ立ってるゴルゴ。
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何かの間違いではないのだろうか?
なぜ、あのお嬢様が俺に恋を?



「恋…鯉…それは池の鯉…。恋…濃い…それは俺の眉毛…」
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「そうじゃねーし…」



(はっ!もしや鈴之介も沙織ちゃんの俺にたいするラブな気持ちを知ってるんじゃ…?)
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(だからか?だから最近のアイツの態度がおかしかったのか?
そう考えればつじつまが合うし…)



(まいったな…。だいたい俺とあのお嬢様じゃ、逆立ちしたって無理だろ?
あっちはいいとこのお嬢様。こっちはそんじょそこらの馬の骨)
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(いや…それが問題じゃーねーわな…。
そうだ…一番の問題は一つだ。惚れてるか惚れてないか…)



(あの子が俺に惚れてても…俺は…俺はローリーに惚れてる…。
たぶん…きっと…。だってローリーの乳が毎晩夢に出てくんだもんよ…)
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(最近じゃ、あいつに会いに行く口実ばかり考えてるし…。
やっぱあれだな…俺もアイツに恋………しちゃってんのかね…)



と、ローリーの乳に恋してるくさいゴルゴ。



(恋か…)
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(恋…濃い…だからそれは俺の眉毛…。って、ほっとけ、バカヤロ~…)
と、一人で恋に(濃い)について議論するゴルゴであった…(笑)



そしてもう一人恋について議論してる人物がここに一人…。
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ローリーは彼の気持ちを知っているのだろうか。
彼がローリーを気になりだしたのはいつからだろう。



沙織はそんな事ばかりが頭の中でグルグル回っていた。
そして、自分がこんなにもゴルゴに惹かれている事にも驚く。
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彼は初めて私に男性を意識させた人だ。
男性の胸が、あんなにも逞しく力強いものだとは思わなかった。



今まで感じた事のないトキメキ。
彼を前にすると、胸の鼓動は今にもはちきれんばかりに轟く。
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やがて全身が不思議な感覚に包まれ、幸せな気分になる。
それが恋だと気づくのにそんなに時間はかからなかった。



だが、ローリーを気になると言った彼もそんな気持ちなのだろうか。
私ではなく彼女にトキメキを感じているのだろうか…。
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沙織はそれを思った瞬間、胸が痛んだ。
どうしようも無い嫉妬心が沙織の胸を貫く。



嫉妬は一番手に負えない感情だ。愛にもっとも近い形で関わってくる。
そしてそれは人を強くもし、弱くもする力を持っている。
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その感情の中にハマたが最後、後は自分の意思でどっちに転ぶか決まる。
沙織の場合は…



やがて、彼女は静かに立ち上がった。そして心に誓う。
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(ゴルゴさん…私はあなたを諦めません。
いつか私を見てくれるまで…諦めない…。私はこんな事でくじけたりしない)



彼女は力が漲って来るのを感じていた。そう、彼女は燃えていた。
決して諦めたりなんかしない、諦めは負けを意味するからだ。
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幼い頃から親の言いなりになり、それで満足していた。
だが、そんな彼女が初めて自分の意思で立ち上がった瞬間だった。



「亮さん…歩くのが早いです…」
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「亮さん!」



「あ……ごめん…」
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「いいえ…」



「このみちゃん…」
「はい?」
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「今夜、どこかに泊まろうか?」
「え…」



「二人でうまいもんでも食ってさ…ホテルにでも泊まろう」
「亮さん…」
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「君と一晩中、一緒にいたい…」
「でも…」



「いいだろ?」
「だって…」
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「いいから行くぞ。もったいないとか言うなよ」
「分かりました…」



「ね、なんか飲む?」
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「いや…いい…」
「そう…」



「ローリー…本当にすまん…。俺…マジでこれからはお前と二人で…」
「違う、誤解しないで」
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「え…」
「私はあんたとどうにかなろうと思って家に入れたんじゃない。
あんたを今回だけ助けてあげようと思って…。ただそれだけよ…」



「俺を助ける…?」
「ねえ、シルヴァー…。しっかりしてよ…。
帰る家もない…仕事もない…。いつまでもそんな事をしていられないでしょ?」
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「それは…」
「それに、私達はもう終わったの。もうやりなおしはきかないのよ」



「そんな事はない。俺はお前を…」
「嘘よ」
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「嘘なもんか…」
「それは嘘。あんたが私を愛してるなんて絶対に嘘よ。
あんたはどうにもならなくなるといつもそう言って私に助けを求める」



「そのためだけにそんなを言っただけでしょ?」
「違う!俺は…」
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「違わない!」
「ローリー…」



「もうこの話はお終い。今夜はそのソファーに寝て。
明日、家を借りるお金を渡すから。家を借りるまではここに居てもいいよ…」
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「それと、仕事も一緒に探してあげる。私が出来るのはそこまで。分かった?」



「お願い…分かってよ…」
「分かったよ…」
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「じゃ私はもう寝るわ。おやすみ…」
「ああ…」



シルヴァーはそっと息を吐き出した。
とりあえずは何とかなった。やはりローリーはいつも俺を助けてくれる。
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前だってそうだった。
なんだかんだ、ローリーと居ると生活には困らない。



ただ、あいつの真面目臭さが鼻につくだけだ。
仕事をしろだの…まっとうな生活をしろだの。
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いつだって口を開けばそんな事しか言わない。
挙句の果て、ガキまで生みたいと抜かしやがった。



女房、子供がいる、マヌケ面をさらしながらの退屈な人生なんてまっぴらだ。
だいたい、俺がこんな風になったのはあいつと暮らしてからだ。
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その前まではすべてが上手く行っていたのに。あいつが俺をだめにした。
そう、あいつと出会い、一緒に暮らしてから少しずつおかしくなっていった。



オーディションにはことごとく落ち、当時結成していたバンドも、
メンバーとケンカして辞めさせられた。
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そしてそのすぐ後だった。そのバンドがデビューしたのは。
自分がやめたとたん、デビューするなんて……。



たいした才能もないのに、
スター気取りでテレビに映ってる元の仲間を見ると吐き気がする。
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そして、家に帰ればローリーの小言だ。
冗談じゃない。



だが、今はローリーにすがるしかない。
アイツは間違いなく俺にまだ惚れている。でなければ俺を助けるはずがないじゃないか。
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そうだろ?俺に惚れてるだろ?
そうさ…いつだってあいつは俺に夢中だ。



― ホテル ―



「さてと…下のレストランにでも行こうか。それともルームサービスでも取る?」
「いえ…あまりお腹がすいてません…。あの…亮さん…」
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「ん?」
「あの…監督のお話って…」



「ああ、別にたいした事じゃない。例のルビーの移植の事だよ。
俺が家まで売る事を気にしててさ…」
「そうですか…」
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「それよりこのみちゃん。プロポーズの予約…今使っていい?」
「え?」



「俺と結婚してくれる?」
「あの…すぐ…ですか?」
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「そう、すぐにでも。
落ち着いたらプロポーズしようと思ったけど、やめた。すぐにしたい」
「でも亮さん…」



「でもはなし。イエスかノーか、2つに一つだ」
「亮さん…」
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「どっち?」
「あの…」



「どっち?」
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ゴクリ…



「イ…イエス…」
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「返事か遅い。ビビらせんなよ(笑)」
「でも…どうし…」



「でもはなしって言ったろ…」
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そういい終えると、亮はこのみの唇を荒々しくむさぼった。



「監督…俺は麗華とは結婚しません…」
「亮…」
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「それだけは出来ない…」
「亮…頼む…頼む…」



「出来ません…」
「亮…」
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「………」



カタ…
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「亮はなんて?」



「お嬢様…」
「亮に伝えたんでしょ?」
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「亮は断ったよ…」
「そう…」



「これで俺達の計画も失敗だ…」
「ふふ…そう思うのはまだ早いわ…」
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「早い?」
「彼がまずは断るだろう事は分かっていた事よ。
けれど彼は必ず考えなおすわ。そしてあなたの要求を受け入れる…」



「なぜそう思うんだ…その自信はどこから来るんだ…」
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「あなた…何年亮と一緒にいるの?全然分かってないわね…。
あの亮の事だもの…彼はあなたの娘さんを黙って見捨てるような人ではないわ」
「何もかも計画的って訳か…」



「とにかく、あなたはこのまま黙って待っていればいいのよ。
そうね…そろそろ手術の準備をした方がいいんじゃなくて?」
「本当に受け入れてくれるだろうか…」
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「ええ、そうなるわ。絶対に」
「そうか…」



「そうだ…な…」
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「では私はこれで。亮が受け入れたら連絡してちょうだい」
「ああ…」



「………」
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「俺達…」



「え…」
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「俺もあんたも…地獄に落ちるな…」



「……ええ…そうね…」
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「けど…娘の命と引き換えに地獄に落ちるのなら安いもんでしょ?」



「安いものか…」
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「はは…ほんとにそうだ…」



「パパー!」
「ルビー…。走っちゃダメだろ?」
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「あの人だ~れ?」
「パパの知り合いだ…」



「パパ、ケーキあるよ!さっきお姉ちゃんが持って来てくれたの!
パパが食べないんなら、ルビーが食べてもいい?」
「こら!お前はもう食べたんだろ?」
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「もう一個だけ。ね、いいでしょ?」
「しょうがないな~」



「ね。パパ。お兄ちゃんとお姉ちゃん、結婚するのかな~?」
「え…」
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「そうだといいな!そしたらルビーも結婚式に出たい!
お姉ちゃん、お姫様のようなドレスを着るのかな?わ~いいな~!」
「ルビー…」



「その時はルビーのドレスも買ってね!私、ふわっとしたドレスがいい!」
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「そしてね、お姉ちゃんの前をお花を持って歩くの!パパ知ってる?
ブライズメイトって言うのよ?ルビー、すっごく楽しみ~♪」



「ね、どんなドレスか見せてあげる!絵本にいっぱい載ってるんだから!」
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「パパ!早く!」



著作権者様から許可を得て、お借りしているBGMです。
よろしかったらお流し下さい。音量にご注意ください。






「これ!これ見て!素敵でしょ?」
ルビーも大きくなったらこんな素敵なドレスを着た花嫁さんになるんだから!」
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「あ、パパのお嫁さんにはならないわよ?だってパパとは結婚できないって知ってるも~ん」
「こいつ~(笑)」



「でもその前にパパとママにうんと親孝行しないとね!」
「親孝行?ルビーが?(笑)おいおい、ずいぶんと先の話だな~(笑)」
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「すぐよ!ルビーね、病気の事でパパとママにいっぱい心配かけちゃったもん。
だから大きくなったら絶対に親孝行したいの!」
「そうか(笑)」



この子はどうしてこんなにも強いのだろう。
一番怖くて不安なのは自分自身だろうに…。
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それなのに親を心配し、守ろうとしている。
この…情けない俺を。



ルビー…ごめんな…。ごめん…
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「パパ…?」



「パパ、どうしたの…?泣いてるの?」
「あんまり嬉しくてな…」
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「パパったら泣き虫なんだから(笑)」



「そうだな…すまん……すまん…」
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「本当にすまん…」



「あ……」
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「んっ…」



「亮さん…」
「ん…?」
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「なんだか今夜の亮さん…」
「エッチ?」



「う…ん…」
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「俺はいつもエッチだよ(笑)」



「亮さん……亮さん…」
「俺は亮だ」
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「あ…」
「亮だ…」



「言ってごらん…」
「亮……さん……」
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「俺は亮…」
「……ょう…」



「亮だ」
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「…りょう………亮……」
「そうだ…俺は亮だ…」



「…のみ……」
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「このみ………このみ…」



彼の低く、かすれた声がやけに悲しくて…
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このみは涙がこぼれそうになるのを必死に堪え、彼にしがみついた。



やがて彼女は、亮が奏でる熱い情熱に身を震わせ…
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そして落ちていった…




続き、第32話(本館)へ 「僕の初体験」 
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第23話 「魅惑的な微笑み…」

*二度目の恋 君に逢いたくて…第23話


― 数日後 ―



「ゴルゴ…そんなに私の胸がよかった…?」
「ああ…最高だ…」
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「うふふふ…あんたも最高よ…」



「ローリー……早くおっぱい…触らせて…」
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クスクス…



「ああ…ローリー…最高だぜ…」
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「やっぱりお前は最高だ…ベイビー…。…たまんねーぜ…ベイビー…」



「…くっ…スゲーぜ…たまんねーぜ…」
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「…ゴルゴ……は…」



「…私もう…」
「ローリー…もう少しだ…もう少しだから…」
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「ゴルゴ!」
「ローリー…一緒に…」



「…本当にもうダメ…ダメ…」
「くっ……もうちょい…」
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「ゴルゴ!」
「ローリー…一緒に…一緒に…ローリー…ローリー!…ロ…」



ドテッ!
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「………あ?」



「…夢…?…なんだ…夢か…」
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「ビビッた…」



「しっかしなんつー夢見てんだよ…イテテテテ…
夢でも何でもローリーをおかずにするなんて俺…頭がおかしくなったんじゃ?」
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「おかず?いやいや…おかずになんかしてねーし。やべーやべー…溜まり過ぎだな…」



「くっそ~どうすんだよ…この中途半端…」
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「だけど もう少しだったんじゃね?
あと1分ってとこだな…いや…30秒?いやいや…三こすり…半…」



「ちくしょう…」
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「………」



(はあ…なんだか絵も書く気がしないわ…。あーあ…マズイな…。
早く気持ちを切り替えなきゃ…)
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(そうだ…先生のとこにでも行って来るか…)



「よいっしょっと。
イタタ…最近どうも腰が…。何の夢見てんだか…どうも夢で暴れてるような…」
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(よし。一応佳作をもらったんだしね。行くか)



(それにしても私の絵が佳作?審査員も変わってんね。
それとも実は実は才能があったりなんかして?まさかね)
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「わっ!ビックリした…沙織か…」



「ローリーさん…」
「どうしたのよ?こんなとこに突っ立って…」
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「ええ…」
「ゴルゴの事?」



「それもありますが…」
「なに?」
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「実は…」



「嘘!」
「はい…。この間のパーティーの夜…鈴之介さんから私より絵の方が大事だからと…」
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「マジで…?」
「はい…」



「そっか…。じゃなんも問題ないじゃん。ゴルゴに言えば?」
「でも…」
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「なんで?鈴之介に悪い?」
「はい…」



クス…恋してる時点で悪いって言えば悪いんじゃないの?」
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「そ、それは…」
「うそうそ、ごめん、冗談(笑)」



「沙織…。鈴之介はさ、あんたの事を思って自分から身を引いたんじゃないかな…。
あんただってあいつが本気で言ったと思ってるわけじゃないんだろ?」
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「え?でも…」
「まだまだネンネだね…沙織は…。あんたより絵の方が大事なんてありえないって…」



「きっと何かに気づいたんだよ…。あんたの心の奥を見抜いたって言うかさ…。
ま、あんたを見てれば誰でも気づくけどね(笑)」
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「わ、私ってそんなに…」
「バレバレだって(笑)」



「そんなにゴルゴが好き?」
「…はい…」
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「そっか…。ふふ…あいつはまったく思ってもみないだろーね…」
「私…ゴルゴさんに気持を伝えるつもりです…。
鈴之介さんには申し訳ありませんが…ゴルゴさんに…伝えます…」



「そう……。がんばれ…」
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「はい…」



(鈴之介さん…ごめんなさい。
私はあなたの優しさに付け込んで自分の思うままに進もうとしています…)
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(本当にごめんなさい…)



幼い頃から許婚だと聞かされて来た。
その事に不満もなければ疑問も感じなかった。
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一生、二人で一緒に生きていくものだと思ってた。
それがどこでどう変わったのか…。



ううん、変わったのは私だ…。
私は彼に出会って変わってしまった…。
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私はもう…このトキメキを忘れられない…



一方、急に二宮財閥がスポンサーを降りた事で呼び出されたチームのメンバー。
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これからいったいどうなるのだろうか。
それぞれの顔に不安がよぎっていた。



「亮…。どう言う事だと思う?」
「さあな…」
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「二宮家が降りたら他のスポンサーもこぞって降りるだろ?したらヤバくね?」



「なあって…。お前なんか聞いてないの?」
「いや…聞いてない…」
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「ぜってーヤベーって!ゲー…最悪だな…」



「………」
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「…かもな…」



「みんな聞いてくれ!」
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「集まってもらったのはみんなも知っての通り、いま我がチームは大変な事になっている」



「二宮家がスポンサーを降りた。
そうなると当然、うちのチームは財政的に困難になるだろう事は察しの通りだ…」
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「不安な気持ちにさせた事に責任を感じている…。すまない…」



「だがうちにはまだ二宮以外にもスポンサーはいる。
それだけでも十分にやっていけるはずだ」
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「そこでだ。これからは他のスポンサーが集まるパーティーに揃って顔を出して欲しい。
友好を深め、これからも引き続きのバックアップをお願いしたい」



「特に亮!お前には率先して出席してもらいたい!」
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「話はそれだけだ!頼んだぞ!解散!」



「なんだかスゲー事になってるな。でもパーティーは亮が一人で出れば十分だろ?」
「お前も当然出るんだよ!」
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「やっぱり?」
「当たり前だろ!」



「面倒くせーな~」
「今夜のパーティーには来いよ!」
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「ヘイヘイ、パーティーでもなんでも出ますよ。さっそくタキシードでも新調しよ~っと♪」



「監督…」
「亮か…」
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「二宮家の会長が急に言い出したんですか?」
「いや…あのお嬢様だよ。今は彼女が全実権を握ってるらしい」



「麗華が…?」
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「ああ…。俺も もう一度頼みに行こうとは思ってるがな…。これが中々会ってくれないんだ…」
「そうですか…」



「一番の問題は二宮家以外のスポンサーまでもが、こぞって降りようとしてる事だ。
現に4、5社からそう言う話が来てる」
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「もう…ですか…?」
「このままではマズイ事になる。今更ながらに二宮家の力を思い知ったよ…」



「お前は確かあのお嬢さんと面識があるよな?」
「はい…」
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「じゃお前からも頼んでみてくれないか?」
「……分かりました…」



「とにかくなるべく多くのスポンサーに会って引き続きの付き合いをお願いしなきゃならん。
それにはお前たち選手の力が必要なんだ。すまんな…」
「いいえ…」
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「悪いがさっそく今夜からパーティーに出席してくれ」
「はい…」



「恋人を同伴しても構わんぞ?(笑)」
「え?」
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「なにトボケてんだよ。お前の恋人だよ」
「ああ…」



「ゴルゴから聞いたぜ(笑)可愛い彼女が出来たんだって?」
「ええ…まあ…」
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「かなり真剣に付き合ってるって聞いたぞ。はは!お前もヤキが回ったな?」
「そう言う事ですね(笑)」



「ならその彼女のためにも早くなんとかしないとな」
「ええ」
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「かならずなんとかなる、大丈夫だ。じゃ今夜から頼んだぞ」
「はい」



(ゴルゴのやつ…べらべらと余計な事喋りやがって…)
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(それにしても麗華が?何故急に このチームの事に興味を持ったんだ?
全く興味がなさそうだったのに…。どうも腑に落ちない。まさか…)



― その日の夜 ―



「本当に私が一緒に行っても大丈夫なんですか?!」
「もちろん」
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「でも場違いじゃないかな~」
「大丈夫だよ(笑)すぐにドレスアップしておいで。待ってるから」



「どうしよう…何を着て行こうかな…」
「なんでもいいよ。君は何着ても可愛いから♪」
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「もう(笑)」
「ローリーも誘おうか?」



「え?ほんとに?ローリーもいいんですか?」
「ああ。ゴルゴも来るし」
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「わ~きっと喜びますよ!」



ダッ
「さっそく言って来ます!」
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「おいおい!転ぶなよ!」



「いかない」
「なんで?」
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「別に…興味ないから…」



「嘘!だってセレブが集まるパーティーだよ?
ローリー、前から行ってみたいって言ってたじゃない。なのにどうして行かないの?」
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「だ、だから興味が…」



「あーっ!本当は行きたいんでしょ?そうでしょ?!」
「そ、そうじゃないし…」
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「いいから行こうよ~ね?」
「行かないってば…」



「ゴルゴさんも来るよ?」
「か、関係ないから…」
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「そんな事言わないで行こうよ~~!
ローリーが行かないと私だけ浮いちゃうもん…。ね?ね?行こう?」



「し、しょうがないな…」
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「もう素直じゃないんだから!早く着替えてよ!」
「分かったわよ…」



「ローリー!ドレスよ!ドレス!」
「分かってるってば…」
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クスクスクス…



(ゴルゴも来る…?べ、別にだから行くって決めた訳じゃないし…)
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(全然関係ないし…)



「おーーー!このみちゃん!お姫様みたいだな~」
「ゴルゴさんったら(笑)」
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「超~~可愛い!食べちゃいたいな~~♪ 食っていい?」
「ダメです(笑)」



「ゴルゴ…それ以上近づくな…」
「ケチ」
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「ケチだもん…」



「あ、お手伝いさんはどうぞこちらへ」
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「誰がお手伝いさんなのよ!」



「あれ?違うの?このみちゃんがお姫様だからてっきりお付のお手伝いさんかと…」
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「ふざけないでよ!こんな綺麗なおベベ着たお手伝いがどこにいんのよ!」



「…また始まった…」
「…ですね…」
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「あの二人…体の相性はいいくせにな…」
「え?」 



「体の相性?何の事です?」
「たまんねーらしいぜ…」
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「は?」
「スゲーんだって…」



ヒソ…ところで亮…」
「ん?」
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「さっき麗華を見たぜ?」
「麗華を…?」



「ああ…。チラっとだけど見かけた」
「ふ~ん…」
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「大丈夫なの?」
「何が?」



「だってこのみちゃんとハチ会わせはさ…」
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「大丈夫だよ。一度二人でいる時に会ってるし」
「あ、なんだ。心配して損した。んじゃ大丈夫だな」



「さ、行こうぜ。会場は二階だ」
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「ボソ…やっぱり大丈夫じゃないかも…?」



― パーティー会場 ―



「お!宮沢君じゃないか!君の活躍はつねづね耳に届いておるぞ!」
「ありがとうございます。こちらこそいつもお世話になっております」
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「いやいや、あれかね?スポンサーの件かね?」
「はい…。是非今後ともよろしくお願いしたく…」



「はは…大丈夫だよ。私は降りたりなんかせん。
むしろ今まで以上にバックアップするつもりでおる。心配は無用だ」
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「ありがとうございます!」



「だがな…私はそう思っても他の連中はそうは思わんかもしれん。
なにせあの二宮家が降りたんだからな…」
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「二宮家と付き合いがある連中はこれを機にスポンサーを降りようとしてくるだろう。
それぐらい誰でも予想がつく…」



(え?二宮家?確か麗華さんの…。そうだ…スポンサーになってるんだったよね。
そっか…スポンサーを降りたんだ。全然知らなかった。でも、どうして突然?)
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(まさか亮さんと別れたせい…?)



「二宮家もなにも今更降りなくともな…」
「僕達も精一杯頑張りますので…」
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「期待しておるよ」
「はい…」



「ところで隣にいる綺麗な女性は君のいい人かな?」
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「はい(笑)」
「お~君もついにだな~」



「ねえ…」
「あ?」
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「さっきからあの女のところに人だかりができてんだけど…何者?」
「あれが麗華だよ。亮の元カノで二宮財閥のお嬢様」



「あ、だからか…見た事あると思った…」
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「正直な話…今回、二宮家がスポンサーを降りたのは亮と別れたからかもな…。
つーか逆かな。今までは亮のおかげでなんとか二宮家がついててくれたのかも?」



「え?何の話?」
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「聞いてない?二宮財閥は俺らのチームのスポンサーだよ。それが突然降りちまった。
俺らのチームは二宮家で持ってるようなもんだったから…。この先どうなる事やら…」



「嘘…。このみは知ってんの?」
「さあ…亮の事だから言ってないだろ?もっとも…すぐにバレんだろうな。
新聞にだってそのうち載るだろうし…」
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「そうなんだ…。うわ…大変…」
「だから俺達があちこちのパーティーに顔出して他のスポンサーに頭下げて回ってんだよ」



「そう言う事か…。あんた達も大変なんだね…」
「俺らみたいな小さなチームはただボールを蹴ってればいいって訳にはいかねんだよ…」
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「だから急にパーティーに出だしたのか…」
「ああ…。けどかなり無理はあると思う。チームの解散も時間の問題かもな…」



「でもさ、実際の話、亮さんはどこでもやってけるでしょ?
今のチームがダメなら他に移籍でもなんでもすればいいんじゃないの?」
「もちろんさ。でもさ、昔亮が怪我した事知ってるだろ?」
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「うん、聞いてる」
「その時に世話になったのが今の監督なんだよ。亮は恩返しのつもりなんじゃねーかな…。
亮は何があっても監督の側を離れねーと思うぜ。きっと最後まで一緒にいるさ…」



「へえ…。亮さんらしいね…」
「まったくな。ほんっと…あったまくるぐらいいい男だよな…」
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「で、あんたもなんで移らないの?」
「俺はこの町が好きだし、それに、亮もいるしな」



「あんたも亮さんに惚れてんだ?」
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「ああ(笑)俺も亮が最後まで残るなら一緒に残る。もう覚悟は出来てるさ」
「へえ…」



「俺さ…ほんっと…全然ダメな時期があってさ…。
チームのメンバーから見放されてる時、亮だけが俺を見放さなかったんだ…」
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「お前はバカで単純だけど、お前の”蹴り”だけは最高だって言ってくれてさ…」



「はは…ほんっと単純だよな…。亮のその一言だけで元気モリモリになっちまってよ…
それから一気に全部がうまくいき出した。試合に出られるようになったのも亮のおかげさ」
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「あんな男…どこにもいないよ…。俺は亮にどこまでだってついていける。
亮と一緒に自滅するなら恐くないさ…」



「そっか…。本当にいい男だね…」
「ああ…」
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「このみは最高の男を捕まえたって訳か…」
「俺の次にな(笑)」



ローリーはこの時、失敗したと思った。
こんな話を聞かなければよかったと…。
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亮が最高の男なのは十分過ぎる程分かったが、
それと同時にゴルゴの熱い部分もみてしまった。



亮が監督のためにそこまでするなら、ゴルゴだって亮のためにそこまでしてる。
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これだから男の友情は困る…。胸が熱くなってしまうではないか…。



(ゴルゴ…)
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(そう言うあんたも最高だよ…)



「さ~てと、俺もそろそろヘイコラしてくっか。お前も付き合え。
ウインクの一つでもしてくれりゃいいから。多少は効くだろ?」
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「なによそれ!」



「疲れた?」
「いいえ、大丈夫です…。それより亮さん…さっきの話…」
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「ああ、ちょっとトラブルがあってね。麗華が絡んでるから君にはいいづらかった。ごめん」
「そんな事はいいんですけど…。でも大丈夫なんですか…?」



「大丈夫さ。俺からも麗華に頼んでみようと思ってる。なるようになるだろ…」
「そうですか…」
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「ところで、もう少ししたらここを抜け出してどこかに泊まろうか?」
「え~!いいですよ~もったいないもん」



「もったいない?」
「はい。せっかく家があるのにダメです」
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「はいはい(笑)君は(俺の)いい奥さんになるな?」
「え?」



「きっといい奥さんになる」
「そ、そっかな…」
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「これで俺も安心♪」
「え?」



「いや~しっかりもので助かったな~」
「なんの事です?」
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「ニブイな~君は(笑)」
「…?」



「おいで…」
「あ…」
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「そのうち落ち着いたらプレゼントするよ…」
「…なにを?」



「永遠の証を…」
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「え!?」



「あれ?欲しくない?」
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「だ、だって!」
「落ち着くまでもう少し待って」



(嘘…今のって…)
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「………」



「じゃ俺ちょっと一回りしてくるから。一人で大丈夫?」
「ええ、大丈夫です。適当に飲んでます」
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「あまり飲みすぎんなよ」
「はい(笑)」



クス…俺もキザだよな(笑))
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カチャ…



「あら、こんばんわ」
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「あ…」



「こ…こんばんわ…」
「今日は亮と一緒に?」
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「はい…」
「そう…」



「ずいぶんと仲がいいわね…うらやましいわ…」
「あの…」
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クス…亮って素敵でしょ?ベットでも最高の男よね…」
「え…」



クスクスクス…あなたみたいな子が亮に関わると大変ね。
抜け出せなくなるかもしれなくってよ?」
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「何の事ですか…?」
「うふふ…」



「あなた、いま亮のチームが大変な事になってるのご存知?」
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「はい…知っています…」
「そう…。これからどうするのかしらね…?」



(なにこの人…まるで他人事みたいに…。それにさっきから失礼な事ばかり。
この間だって私にワザと聞こえるように中絶の話なんかして。そうよ…あれはワザとだわ)
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(私…この人嫌い…)



「あの…どうして突然スポンサーを降りられたんですか?」
「あら…分からない?うふふ…あなたなら分かるでしょ?」
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「私が…?」
「本当は分かってるくせに…」



「分かりません…」
「ふふ…なら教えてあげる。それはね…あてつけよ。あ・て・つ・け。
亮に対するあてつけに決まってるでしょ?クスクスクス…
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「そんな…。そんな事でチームを巻き込んだんですか?!」
「ええ、そうよ」



「ひどい…」
「もっとひどい事をするかも知れなくってよ?」
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「でもそうね…率直に言った方がいいわね。あなにも関係がある事だし…」
「何が言いたいんですか…」



「はっきり言うわ。亮を…私に下さらない?私、亮ともう一度やりなおしたいの。
そうなればスポンサーは今まで通りよ。チームを巻き込まなくても済むしね」
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「亮だってこのまま彼一人のせいでチームがダメになるなんて…心苦しいと思うわ。
そんな思いを彼にさせたくはないでしょ?」



「あなたは何を言ってるんですか…」
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「だからそんな事になる前に亮を私に頂戴と言ってるの。簡単な話でしょ?
ももちろん、あなたにもお礼はたっぷりとさせていただくわ。どうかしら?」



「………お断りします」
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「亮さんは物じゃありません…。それをあなたは…」



「そうね…。彼は物じゃないわね。彼は立派な人間よ。そしてとっても魅力的な男でもあるわ…」
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「だから私は彼が欲しいの。あなたなら分かるでしょ?同じ男を愛したんだもの…」
「私…あなたが何を言ってるのか分かりません。失礼しま…」



「亮はどう出るかしら?このままチームを見捨てられる?
ふふ…あなたに頼まなくても亮が勝手に戻ってきてくれるかも知れないわね…」
「あなたは…そうまでして亮さんを…」
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「ええ、欲しいわ。いずれにしろ、亮次第って事ね…」
「亮さんは絶対に戻ったりなんかしません。私達はいずれ結婚するつもりですから。
あなたとはもう何も話すことはありません…。失礼します…」



亮は渡さないわ!絶対に渡さない
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「……私も」



彼を渡しません…。絶対に
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「気が強い事…」



「どんな事があっても渡しませんから…」
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「ふふ…。彼は必ず私のところへ戻って来るわ…。…きっとすぐにね…」
そう言いながら彼女は、魅惑的な笑みを向けた。



「麗華…」
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「あら、亮…。偶然ね…」



「ちょうどよかった。君にちょっと話がある…」
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「…そう?なにかしら?」
「ちょっと向こうへ…」



亮さん!
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「ん?」



「どうした?」
「私…帰りたい…」
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「ちょっとだけ待って。麗華とちょっと…」
「もう帰りたい…」



「亮さんの家に帰りたいんです…」
「このみちゃん…?」
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「…帰りたい…」
「おい…?」



クス…お話は又にした方がいいんじゃなくて?」
「あ…ああ…」
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「いつでも連絡頂戴。待ってるわ」



「では失礼」
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「………」



「どうした…?…麗華に何か言われた?」
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「いえ…そんな事は何も…。きっと飲み過ぎたんだと思います。ちょっとムカムカして…」
「大丈夫か?分かった。すぐに帰ろう」



「亮さん…」
「ん?」
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「抱っこ…」
「抱っこ?(笑)」



「抱っこして下さい…」
「はいはい(笑)」
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「今夜は甘えん坊だな?」
「たまには甘えたい時もあるんです…」



ギュッ…
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心臓がバクバクしていた。



彼女に言われた言葉にではない、鋭く光るあの瞳にだ。
恐ろしい程に自信に溢れていたあの瞳…。
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あの自信はいったいどこから来るのだろう。
分からない…。分からないけど…



その夜、見えない不安が彼女を支配していた…。
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続き、第24話(本館)へ 「近づく嵐」 
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