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第31話 「長い夜」

*二度目の恋 君に逢いたくて…第31話

カチャ
「来てたのか」
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「亮さん…」



「お兄ちゃん!ケーキあるよ!」
「お!うまそうだな~」
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「ルビーね、一個もう食べちゃった♪ 凄く美味しかった!
お兄ちゃんも食べて!早く食べないとルビーが全~部食べちゃうよ?」
「残念だけど今日はもう帰る時間なんだ」



「このみちゃん、そろそろ帰ろう」
「え…でも…」
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「今日はもう遅いし、ルビーの具合が悪くなるといけないから」
「はい…」



「えーーーー!もう帰っちゃうの?ケーキは?ケーキは食べないの?」
「ルビー、また来るから。ケーキは明日食いな。今日はもう食べちゃだめだ」
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「もう一個いけそうなんだけどな~」
「だーめ(笑)食い過ぎるとデブるぞ?いいのか?」



「そうね、デブるのはルビーも嫌だわ!美貌が崩れるものね!」
「な~にが美貌だよ(笑)」
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「だって本当の事だも~ん!」
「分かった分かった(笑)じゃ又な」



「行こう、このみちゃん」
「ルビーちゃん又ね」
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「うんっ!待ってるからね」



亮は一刻も早くこの場所から離れたかった。
これ以上、監督と言い合いをしたくもなければ土下座を見るのもごめんだ。
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そして何よりも、ルビーの顔を見たくなかった。



もちろん、麗華との結婚は断った。そんな事は当たり前の話だ。
だが、笑ってルビーの顔を見る事はどうしても出来ない。
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当たり前の正義を貫いた事に後ろめたさを感じている訳では決してない。
ただ…ルビーのあの笑顔が心に痛かった。



ルビーのくったくのない笑顔は、亮の心にズシリと響き
心臓をわし掴みにしていた。
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そしてこのみも又、先の見えない不安に怯えている自分に気づく。



亮は絶対に断ったはずだ。そんな事は分かっている。
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けれど黙りがちな彼の態度と、
口を一文字にギュッと閉じているその沈黙が何かを物語っているようで怖い。



この先、私達はどうなるのだろう。
このまま黙って一緒にいてもいいのだろうか。
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このみはふと思った。隣にいるこの人が…
もうすぐ手の届かない場所へ行ってしまいそうな…そんな気がして…。



一方、沙織に愛の告白をされ、呆然と突っ立ってるゴルゴ。
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何かの間違いではないのだろうか?
なぜ、あのお嬢様が俺に恋を?



「恋…鯉…それは池の鯉…。恋…濃い…それは俺の眉毛…」
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「そうじゃねーし…」



(はっ!もしや鈴之介も沙織ちゃんの俺にたいするラブな気持ちを知ってるんじゃ…?)
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(だからか?だから最近のアイツの態度がおかしかったのか?
そう考えればつじつまが合うし…)



(まいったな…。だいたい俺とあのお嬢様じゃ、逆立ちしたって無理だろ?
あっちはいいとこのお嬢様。こっちはそんじょそこらの馬の骨)
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(いや…それが問題じゃーねーわな…。
そうだ…一番の問題は一つだ。惚れてるか惚れてないか…)



(あの子が俺に惚れてても…俺は…俺はローリーに惚れてる…。
たぶん…きっと…。だってローリーの乳が毎晩夢に出てくんだもんよ…)
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(最近じゃ、あいつに会いに行く口実ばかり考えてるし…。
やっぱあれだな…俺もアイツに恋………しちゃってんのかね…)



と、ローリーの乳に恋してるくさいゴルゴ。



(恋か…)
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(恋…濃い…だからそれは俺の眉毛…。って、ほっとけ、バカヤロ~…)
と、一人で恋に(濃い)について議論するゴルゴであった…(笑)



そしてもう一人恋について議論してる人物がここに一人…。
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ローリーは彼の気持ちを知っているのだろうか。
彼がローリーを気になりだしたのはいつからだろう。



沙織はそんな事ばかりが頭の中でグルグル回っていた。
そして、自分がこんなにもゴルゴに惹かれている事にも驚く。
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彼は初めて私に男性を意識させた人だ。
男性の胸が、あんなにも逞しく力強いものだとは思わなかった。



今まで感じた事のないトキメキ。
彼を前にすると、胸の鼓動は今にもはちきれんばかりに轟く。
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やがて全身が不思議な感覚に包まれ、幸せな気分になる。
それが恋だと気づくのにそんなに時間はかからなかった。



だが、ローリーを気になると言った彼もそんな気持ちなのだろうか。
私ではなく彼女にトキメキを感じているのだろうか…。
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沙織はそれを思った瞬間、胸が痛んだ。
どうしようも無い嫉妬心が沙織の胸を貫く。



嫉妬は一番手に負えない感情だ。愛にもっとも近い形で関わってくる。
そしてそれは人を強くもし、弱くもする力を持っている。
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その感情の中にハマたが最後、後は自分の意思でどっちに転ぶか決まる。
沙織の場合は…



やがて、彼女は静かに立ち上がった。そして心に誓う。
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(ゴルゴさん…私はあなたを諦めません。
いつか私を見てくれるまで…諦めない…。私はこんな事でくじけたりしない)



彼女は力が漲って来るのを感じていた。そう、彼女は燃えていた。
決して諦めたりなんかしない、諦めは負けを意味するからだ。
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幼い頃から親の言いなりになり、それで満足していた。
だが、そんな彼女が初めて自分の意思で立ち上がった瞬間だった。



「亮さん…歩くのが早いです…」
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「亮さん!」



「あ……ごめん…」
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「いいえ…」



「このみちゃん…」
「はい?」
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「今夜、どこかに泊まろうか?」
「え…」



「二人でうまいもんでも食ってさ…ホテルにでも泊まろう」
「亮さん…」
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「君と一晩中、一緒にいたい…」
「でも…」



「いいだろ?」
「だって…」
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「いいから行くぞ。もったいないとか言うなよ」
「分かりました…」



「ね、なんか飲む?」
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「いや…いい…」
「そう…」



「ローリー…本当にすまん…。俺…マジでこれからはお前と二人で…」
「違う、誤解しないで」
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「え…」
「私はあんたとどうにかなろうと思って家に入れたんじゃない。
あんたを今回だけ助けてあげようと思って…。ただそれだけよ…」



「俺を助ける…?」
「ねえ、シルヴァー…。しっかりしてよ…。
帰る家もない…仕事もない…。いつまでもそんな事をしていられないでしょ?」
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「それは…」
「それに、私達はもう終わったの。もうやりなおしはきかないのよ」



「そんな事はない。俺はお前を…」
「嘘よ」
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「嘘なもんか…」
「それは嘘。あんたが私を愛してるなんて絶対に嘘よ。
あんたはどうにもならなくなるといつもそう言って私に助けを求める」



「そのためだけにそんなを言っただけでしょ?」
「違う!俺は…」
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「違わない!」
「ローリー…」



「もうこの話はお終い。今夜はそのソファーに寝て。
明日、家を借りるお金を渡すから。家を借りるまではここに居てもいいよ…」
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「それと、仕事も一緒に探してあげる。私が出来るのはそこまで。分かった?」



「お願い…分かってよ…」
「分かったよ…」
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「じゃ私はもう寝るわ。おやすみ…」
「ああ…」



シルヴァーはそっと息を吐き出した。
とりあえずは何とかなった。やはりローリーはいつも俺を助けてくれる。
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前だってそうだった。
なんだかんだ、ローリーと居ると生活には困らない。



ただ、あいつの真面目臭さが鼻につくだけだ。
仕事をしろだの…まっとうな生活をしろだの。
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いつだって口を開けばそんな事しか言わない。
挙句の果て、ガキまで生みたいと抜かしやがった。



女房、子供がいる、マヌケ面をさらしながらの退屈な人生なんてまっぴらだ。
だいたい、俺がこんな風になったのはあいつと暮らしてからだ。
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その前まではすべてが上手く行っていたのに。あいつが俺をだめにした。
そう、あいつと出会い、一緒に暮らしてから少しずつおかしくなっていった。



オーディションにはことごとく落ち、当時結成していたバンドも、
メンバーとケンカして辞めさせられた。
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そしてそのすぐ後だった。そのバンドがデビューしたのは。
自分がやめたとたん、デビューするなんて……。



たいした才能もないのに、
スター気取りでテレビに映ってる元の仲間を見ると吐き気がする。
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そして、家に帰ればローリーの小言だ。
冗談じゃない。



だが、今はローリーにすがるしかない。
アイツは間違いなく俺にまだ惚れている。でなければ俺を助けるはずがないじゃないか。
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そうだろ?俺に惚れてるだろ?
そうさ…いつだってあいつは俺に夢中だ。



― ホテル ―



「さてと…下のレストランにでも行こうか。それともルームサービスでも取る?」
「いえ…あまりお腹がすいてません…。あの…亮さん…」
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「ん?」
「あの…監督のお話って…」



「ああ、別にたいした事じゃない。例のルビーの移植の事だよ。
俺が家まで売る事を気にしててさ…」
「そうですか…」
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「それよりこのみちゃん。プロポーズの予約…今使っていい?」
「え?」



「俺と結婚してくれる?」
「あの…すぐ…ですか?」
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「そう、すぐにでも。
落ち着いたらプロポーズしようと思ったけど、やめた。すぐにしたい」
「でも亮さん…」



「でもはなし。イエスかノーか、2つに一つだ」
「亮さん…」
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「どっち?」
「あの…」



「どっち?」
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ゴクリ…



「イ…イエス…」
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「返事か遅い。ビビらせんなよ(笑)」
「でも…どうし…」



「でもはなしって言ったろ…」
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そういい終えると、亮はこのみの唇を荒々しくむさぼった。



「監督…俺は麗華とは結婚しません…」
「亮…」
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「それだけは出来ない…」
「亮…頼む…頼む…」



「出来ません…」
「亮…」
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「………」



カタ…
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「亮はなんて?」



「お嬢様…」
「亮に伝えたんでしょ?」
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「亮は断ったよ…」
「そう…」



「これで俺達の計画も失敗だ…」
「ふふ…そう思うのはまだ早いわ…」
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「早い?」
「彼がまずは断るだろう事は分かっていた事よ。
けれど彼は必ず考えなおすわ。そしてあなたの要求を受け入れる…」



「なぜそう思うんだ…その自信はどこから来るんだ…」
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「あなた…何年亮と一緒にいるの?全然分かってないわね…。
あの亮の事だもの…彼はあなたの娘さんを黙って見捨てるような人ではないわ」
「何もかも計画的って訳か…」



「とにかく、あなたはこのまま黙って待っていればいいのよ。
そうね…そろそろ手術の準備をした方がいいんじゃなくて?」
「本当に受け入れてくれるだろうか…」
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「ええ、そうなるわ。絶対に」
「そうか…」



「そうだ…な…」
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「では私はこれで。亮が受け入れたら連絡してちょうだい」
「ああ…」



「………」
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「俺達…」



「え…」
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「俺もあんたも…地獄に落ちるな…」



「……ええ…そうね…」
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「けど…娘の命と引き換えに地獄に落ちるのなら安いもんでしょ?」



「安いものか…」
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「はは…ほんとにそうだ…」



「パパー!」
「ルビー…。走っちゃダメだろ?」
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「あの人だ~れ?」
「パパの知り合いだ…」



「パパ、ケーキあるよ!さっきお姉ちゃんが持って来てくれたの!
パパが食べないんなら、ルビーが食べてもいい?」
「こら!お前はもう食べたんだろ?」
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「もう一個だけ。ね、いいでしょ?」
「しょうがないな~」



「ね。パパ。お兄ちゃんとお姉ちゃん、結婚するのかな~?」
「え…」
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「そうだといいな!そしたらルビーも結婚式に出たい!
お姉ちゃん、お姫様のようなドレスを着るのかな?わ~いいな~!」
「ルビー…」



「その時はルビーのドレスも買ってね!私、ふわっとしたドレスがいい!」
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「そしてね、お姉ちゃんの前をお花を持って歩くの!パパ知ってる?
ブライズメイトって言うのよ?ルビー、すっごく楽しみ~♪」



「ね、どんなドレスか見せてあげる!絵本にいっぱい載ってるんだから!」
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「パパ!早く!」



著作権者様から許可を得て、お借りしているBGMです。
よろしかったらお流し下さい。音量にご注意ください。






「これ!これ見て!素敵でしょ?」
ルビーも大きくなったらこんな素敵なドレスを着た花嫁さんになるんだから!」
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「あ、パパのお嫁さんにはならないわよ?だってパパとは結婚できないって知ってるも~ん」
「こいつ~(笑)」



「でもその前にパパとママにうんと親孝行しないとね!」
「親孝行?ルビーが?(笑)おいおい、ずいぶんと先の話だな~(笑)」
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「すぐよ!ルビーね、病気の事でパパとママにいっぱい心配かけちゃったもん。
だから大きくなったら絶対に親孝行したいの!」
「そうか(笑)」



この子はどうしてこんなにも強いのだろう。
一番怖くて不安なのは自分自身だろうに…。
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それなのに親を心配し、守ろうとしている。
この…情けない俺を。



ルビー…ごめんな…。ごめん…
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「パパ…?」



「パパ、どうしたの…?泣いてるの?」
「あんまり嬉しくてな…」
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「パパったら泣き虫なんだから(笑)」



「そうだな…すまん……すまん…」
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「本当にすまん…」



「あ……」
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「んっ…」



「亮さん…」
「ん…?」
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「なんだか今夜の亮さん…」
「エッチ?」



「う…ん…」
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「俺はいつもエッチだよ(笑)」



「亮さん……亮さん…」
「俺は亮だ」
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「あ…」
「亮だ…」



「言ってごらん…」
「亮……さん……」
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「俺は亮…」
「……ょう…」



「亮だ」
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「…りょう………亮……」
「そうだ…俺は亮だ…」



「…のみ……」
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「このみ………このみ…」



彼の低く、かすれた声がやけに悲しくて…
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このみは涙がこぼれそうになるのを必死に堪え、彼にしがみついた。



やがて彼女は、亮が奏でる熱い情熱に身を震わせ…
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そして落ちていった…




続き、第32話(本館)へ 「僕の初体験」 
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